【長崎】J2を席巻するふたりの“規格外助っ人”…「剛」のイバルボと「柔」のルアン

2020年07月26日 藤原裕久

イバルボのフィジカルを活かしてスタートダッシュに成功

存在感を高めているイバルボ(左)とルアン(右)。長崎の攻撃のキーマンとなる。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

「剛と柔の規格外」。

 J2におけるふたりの存在を表現するのに、これほど的確な言葉はない。強さ、高さ、速さを兼ね備えた驚異的なフィジカルで他を圧倒するビクトル・イバルボ。足もとに吸い付くようなボールコントロールと、緩急自在のリズムで相手を翻弄するルアン。リーグ7試合を終えて、2位大宮に勝点差4をつけて単独首位に立つ長崎にあって、ふたりの存在感が増している。

「相手が嫌がるだろうなということ。それから、得点を取りにいくんだということがチームに伝わりやすい」

 手倉森誠監督は、イバルボを主に途中出場で起用する理由を、そう説明する。この言葉で重要なのは、「得点を取りにいく」のが理由なのではなく、「得点を取りにいくことがチームに伝わりやすい」が理由であるという点だ。この言葉はそのままイバルボの特長も表している。ゴール前での際立つ存在感から、純粋な点取り屋タイプと思われるイバルボだが、その本領はチャンスメーカーだ。

 事実、リーグ6試合に出場しているイバルボの得点数は1にとどまるが、アシストを含めて、この元コロンビア代表FWが絡んだ得点は4。中でも3節の福岡戦では、1点リードされた場面で投入されると、試合終盤に前線の起点として富樫敬真の2ゴールをお膳立てし、イバルボ恐るべしを印象付けた。昨季は怪我もあって不本意なシーズンを過ごしたが、今季はオフシーズンからしっかりと身体を絞ってきたことで、心身ともに好調を維持できているようだ。
 
 一方、高い期待とは裏腹に、「日本のサッカーにまだ馴染んでいない」(手倉森監督)として、開幕戦ではメンバー外だったルアンも、その存在感を徐々に高めている。

 懸念だった連係面こそまだ不十分だがコンディションは良好で、試合の要所では圧倒的なスキルの高さを披露。リーグ再開初戦の北九州戦では途中出場すると、イバルボとの連係から来日初ゴールを記録し、4節の愛媛戦でも3人の選手に囲まれながらボールをキープして、ゴール前へ高精度クロスを放つなど圧倒的なスキルを見せつけた。

 今はまだ個の技術だけで勝負している感が強いものの、このまま実戦の中で連係を高めていけば、手がつけられない存在となる予感は十分だ。

 リーグ序盤、イバルボのフィジカルという剛を活かした長崎はスタートダッシュに成功した。このままイバルボが好調を維持し、確かな足もとの技術を持つ柔のルアンが、チームとの連係を高めていけば、長崎はさらに加速するに違いない。

取材・文●藤原裕久(サッカーライター)
 

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