「なぜ浦和は大敗したのか?」…浮上のカギを握るのは司令塔

2020年07月23日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

堅守速攻型チームの典型的な負けパターンだった

後半途中から起用された興梠も無得点。柏の守備ブロックを破れなかった。(C)SOCCER DIGEST

[J1第6節]浦和0-4柏/7月22日/埼玉

 7月22日、J1第6節・柏レイソル戦、0-4。浦和レッズはあっけなく大敗を喫した。

 4節までは公式戦無敗で2位につけていたものの、5節のFC東京戦、6節の柏戦で連敗。順位を7位に落としている。

 まだ6節が終わったばかりで悲観するには早いという見方もあるだろうが、そう楽観的に見ていられない。主攻の左サイドから以外に、これといった攻撃パターンを見出せていないのだ。

 柏戦の敗因も、そうした戦術的な柔軟性のなさにある。

 試合を振り返ると、まさに堅守速攻型チームの典型的な負けパターンだった。

 序盤こそ武藤雄樹とレオナルドの2トップを中心に流れるような縦パスの連続でゴールに迫ったが、20分を過ぎたあたりから急激に停滞。立ち上がりのチャンスで先制できていればスコアが逆になっていた可能性もあったが、その後GK西川周作のパスミスから先制点を献上する。これが痛恨だった。

 前半終了間際には関根貴大のビッグチャンスも相手GK中村航輔のビッグセーブに阻まれ、後半にもなんとか巻き返そうと前線に人数を欠けたが、コンパクトになった柏の守備ブロックを崩し切れなかった。

 カウンターをベースとするチーム同士の対戦では、先制されるのは致命的だ。失った点を取り返そうと前に出ても、相手はすでに引いてブロックを作っているから、崩すのは容易ではない。むしろ前掛かりになったところを相手に見事に突かれて失点を重ねる。終わってみれば内容以上の大差で敗れているような展開は少なくない。

 柏戦では大槻毅監督は後半に、ドリブラーの汰木康也、万能型の興梠慎三、長身の杉本健勇などFWとサイドハーフを次々に入れ替えたものの、どれも決定打には至らなかった。それもそのはず。前線の人選を変えたところで大きな変化は見込めず、攻撃の戦術自体が変わらなければ、自陣深くに引く相手にとっては与しやすいのだ。

 引いた相手を崩すひとつの策として有効なのは、中盤でのポゼッション。相手を前方に引き出し、ゴール前のスペースを空ける。そのうえでキーになるのは、中盤で攻撃をコントロールできる司令塔だ。しかしFC東京戦も柏戦も、貴重な中盤のパサーである柏木陽介はベンチ外だった。

 攻撃の流れを掴めなかったFC東京戦、最終局面で崩し切れなかった柏戦では、一気に戦況を変えるパスが欲しい場面は多々あった。

 先制された時にどう振る舞うかは今後の浦和の重大テーマとなる。柏木のようなパサータイプをベンチに入れておくのは、引いた相手を崩すためのひとつの解決案となるはずだ。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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