かつて見下していた「欧州第2のカップ戦」に浮上のきっかけを求めるイタリア勢――ヨーロッパリーグ

2015年02月22日 サッカーダイジェストWeb編集部

1998-99シーズン以降は決勝戦進出すら果たせないイタリア勢。

CLグループリーグ敗退でELに回ったローマ。ここから気を取り直して頂点を目指すのは簡単ではなさそうだ。 (C) Getty Images

 チャンピオンズ・リーグ(CL)同様、先週から決勝トーナメント1回戦が始まったヨーロッパリーグ(EL)。32チームが欧州各国で、CLに劣らぬ熱い戦いを繰り広げた。
 
 注目は、最多の5チーム(トリノ、ナポリ、ローマ、フィオレンティーナ、インテル)が出場しているイタリア勢。各チームの第1レグの結果は以下の通りである。
 
トリノ 2-2 アスレティック・ビルバオ
トラブソンスポル 0-4 ナポリ
ローマ 1-1 フェイエノールト
トッテナム 1-1 フィオレンティーナ
セルチック 3-3 インテル
※左側がホームチーム
 
 ペナルティで出場権を剥奪されたパルマに代わって同カップに初出場したトリノは難敵ビルバオに引き分け、ナポリは4点差(同ラウンドでの最多得点差タイ記録)で大勝し、同カップでの連続無失点試合を4に伸ばした(これもタイ記録)。
 
 記録といえば、フィオレンティーナも同カップにおけるアウェーでの連続無敗記録を9試合に伸ばし、PAOKに並んだ。インテルは勝利目前だったが、ロスタイムで失点。悔いを残したものの、アウェーでの3ゴールは第2レグに向けて非常に大きなアドバンテージとなった。
 
 ローマはホームで追いつかれての痛いドロー。しかもピッチの外ではフェイエノールトのサポーターが暴れてローマの貴重な文化建造物を破壊するなど、何かと後味の悪い対決となってしまった。
 
 さて、同カップにおけるイタリア勢だが、2008-09シーズンまでのUEFAカップ時代を含め、パルマがマルセイユを決勝で下した1999-98シーズン以降、優勝どころか決勝進出さえ一度もない。
 
 90年代には7度もイタリア勢が優勝。しかもイタリア勢による決勝カードも4度組まれるなど、同カップを完全に席巻していたものだが、前述のパルマ優勝以降、勢いはパタリと止んでしまった。
 
◎EL & UEFAカップでのイタリア勢最高成績
(1999-2000シーズン~)
1999-00 4回戦(ローマ、ウディネーゼ、パルマ、ユベントス)
2000-01 4回戦(パルマ、インテル、ローマ)
2001-02 準決勝(インテル、ミラン)
2002-03 準決勝(ラツィオ)
2003-04 準々決勝(インテル)
2004-05 準決勝(パルマ)
2005-06 決勝トーナメント2回戦(ローマ、パレルモ、ウディネーゼ)
2006-07 決勝トーナメント1回戦(パルマ、リボルノ)
2007-08 準決勝(フィオレンティーナ)
2008-09 準々決勝(ウディネーゼ)
2009-10 決勝トーナメント2回戦(ユベントス)
2010-11 決勝トーナメント1回戦(ナポリ)
2011-12 決勝トーナメント2回戦(ウディネーゼ)
2012-13 準々決勝(ラツィオ)
2013-14 準決勝(ユベントス)
※最後の優勝(98-99シーズンのパルマ)以降の成績を記載
 
 これには、いくつか原因を見出すことができる。

 90年代、世界で最もハイレベルなリーグといわれたセリエAで強さと財力を競い合ったビッグ7(ユベントス、ミラン、インテル、ローマ、ラツィオ、フィオレンティーナ、パルマ)。そのうちCL出場権を得られなかった約半分がUEFAカップに送り込まれるのだから、強いのも当然と言えた。
 
 しかし90年代後半以降、このビッグ7のうち、フィオレンティーナ、パルマ、ラツィオはオーナー会社が経営破綻してしまう。これにより、当然ながらチームの力も徐々に落ちていった。上位チームはチャンピオンズ・リーグに進出し、UEFAカップには他国クラブと同等、むしろ経験値では劣るクラブが出場することが多くなった。

次ページ華やかなCLの影でひっそりと進むカルチョ復興を懸けた戦い。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事