アルゼンチン代表の“野獣”がセビージャ躍進の立役者に!キャリアハイの14ゴールと大車輪の活躍【現地発】

2020年07月19日 エル・パイス紙

「無我夢中でやるしかないと思ってグローブをつけた」

セビージャを力強く牽引するオカンポス。(C) Getty Images

 来シーズンのチャンピオンズ・リーグ行きを確定したセビージャの躍進の最大の立役者のひとりが、ルーカス・オカンポスだ。

 第34節のエイバル戦では、56分に先制ゴールを奪うと、後半アディショナルタイムにはトマシュ・ヴァツリークの負傷退場を受け急造GKを務め、相手守護神のマルコ・ドミトロビッチのシュートをセーブ。まさに攻守に大車輪の活躍で、貴重な勝点3の獲得に貢献した。MOM輝いた男は試合後、こう興奮気味に語った。

「無我夢中でやるしかないと思ってグローブをつけた。練習では何度かGKを務めたことはあった。とにかくチームの助けになりたいと思ったんだ。GKコーチからは、ゴールエリアから出ないようにアドバイスされていた。それでそのまま留まっていたら、ちょうどボールが来たんだ」
 
 オカンポスは、スポーツディレクター(SD)のモンチがローマ時代からマークしていた選手だ。モンチがイタリアに赴任してからわずか13日後の2017年5月7日のことだった。ローマは当時オカンポスが期限付き移籍でプレーしていたミランと対戦。そこで目の前で素晴らしいパフォーマンスを披露し、一目惚れしたのだった。その後、モンチの肝いりでローマは実際に獲得にも動いたが、高額の移籍金がネックとなって断念せざるを得なかった。

 オカンポスはその16モンチの期待に応え-17シーズン終了後にレンタル元のマルセイユに復帰。そこにはかつてセビージャに在籍したアディル・ラミが在籍し、モンチは彼の協力も得て虎視眈々と次のチャンスを伺いながら、調査を継続した。

 そしてセビージャに復帰して最初に迎えた昨夏の移籍市場でその好機が巡ってくると、迷うことなくマルセイユの要求額1500万ユーロ(約18億7500万円)を投じて、"念願の恋人"を手に入れたのだった。

 モンチの期待に応え、オカンポスは開幕から主力として活躍。とりわけヘスス・ナバスと形成する右サイドのコンビはチーム最大の得点源となっており、スペイン・サッカーの著名な統計学専門家のペドロ・マルティンによると、セビージャはふたりのコンビネーションプレーからラ・リーガトップの20得点を叩き出している。

 さらに対戦相手や試合展開に応じて左サイドやFWとしてもプレー。その使い勝手の良さで、ジュレン・ロペテギ監督の采配にバリエーションをもたらしている。

 最大の武器はスピードとパワーだ。攻撃が単調になりがちなセビージャにおいてその突破力で違いを生み出す存在になっており、加えて得点面でもラ・リーガ37節終了時点でチームトップの14ゴールをマーク。過去に在籍したリーグでニ桁得点を記録したことはなく、大幅に自身のキャリアハイを更新している。

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