【横浜FC】松浦拓弥のハイパフォーマンスの陰に中村俊輔の支え。キャンプ時のマル秘エピソードも

2020年07月10日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「イヤホンをしていて聞いていなかった(笑)」

前節の柏戦は1得点・1アシストの活躍で、今季初勝利に大きく貢献した。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 前節、柏に3-1で圧勝し、今季初勝利を手にした横浜FCで、1得点・1アシストのハイパフォーマンスを見せたのが、在籍2年目の松浦拓弥だ。21分、狙いすましたスルーパスで斉藤光毅の先制点をお膳立てし、1-1で迎えた47分、鮮やかなヒールシュートで決勝点を流し込んでみせた。

「本当に、よく変わりました。プライベートを含めて、今、サッカーに真剣に打ち込んでくれていると思います」(下平隆宏監督)

 リーグ再開からスタメンに抜擢されている31歳のアタッカーについて、指揮官はその"変化"について言及する。

「昔から遅刻魔だったらしくて、うちでも去年、何度も遅刻をして。僕も、規律違反に対しては厳しく処分しました。ただ元々、サッカーセンスのある選手で、今年は"勝負する"という意気込みで、キャンプからもよくトライしてくれていました」

 気持ちを入れ替えた松浦を手厚くサポートしていたのが、磐田時代もチームメイトだった中村俊輔だ。

「『俺が彼をなんとかしますよ』といつも言ってくれて、教育し続けてくれていました。キャンプでもずっと同じ部屋で、朝食にも必ず連れて来てくれたり。ずっとやってくれていましたね。そのおかげもあって、パフォーマンスもグングンと上がっていったと思います」(下平監督)

 当の松浦は「(中村からの声掛けで)特別に何かってわけではないですけど、ジュビロの時もロッカーは隣でしたし、シュンさんのサッカーに対する姿勢とか考えに触れる機会は多かった。それもあって、自分の中でやっぱり意識は変わりました」と語る。
 
 遅刻もしなくなったようだ。「シュンさんが早起きなので、キャンプが終わってからも、それが染みついています」。様々な面でポジティブに感化されたようで、また「話しかけられたので、それに応えたら、イヤホンをしていて聞いていなかったことがありました(笑)」というエピソードも。

 心機一転、サッカーと真摯に向き合うようになった松浦は、ピッチ上でも頼りになる働きぶりを見せる。

「正しいポジションに立つことが最優先」と、ポジショニングを意識してパスを引き出し、ビルドアップをスムーズにする。守備時には、自分より後ろにいる味方の指示に従って相手のボールホルダーを追い込み、前にいる選手には自ら指示を出す。「それが上手くできている時は、チームとして同じタイミングでプレッシャーをかけられていると思う」。

 中盤の位置で攻守の両局面に絡み、決定的な仕事もこなす。心身ともに充実している松浦のさらなる活躍に期待したい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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