【千葉】浸透しつつある“ユンスタイル”。快勝の水戸戦で垣間見せた進化の跡

2020年07月10日 本田健介(サッカーダイジェスト)

堅守速攻のベースはできつつある

今季から指揮を執るユン・ジョンファン監督(写真中央)。クラブは悲願のJ1復帰を目指す。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 7月11日、千葉はホームに栃木を迎えてJ2の第4節を戦う。これまでの無観客、いわゆるリモートマッチとは異なり、5000人を上限に観客を入れてのゲームとなるだけに、雰囲気も変わりそうだ。

 千葉は前節、水戸に3-0と快勝。開幕から2勝1敗の成績で3位タイに付ける。まだ3試合を終えたばかりで一喜一憂することはできないが、水戸戦は今季から就任したユン・ジョンファン監督のスタイルが色濃く表われ、勢いに乗れる勝利ともなった。

「組織的な守備ができ、良い守備からカウンターができた」

 栃木戦の前日、7月10日にオンライン取材に登場したユン・ジョンファン監督は、改めて水戸戦での手応えを語る。

 布陣は3試合続けてオーソドックスなダブルボランチの4-4-2。試合は開始6分にFWクレーベと協力して右サイドでボールを奪ったサイドハーフ米倉恒貴が一気にドリブルで持ち上がると、そのグラウンダーのクロスを山下敬大がシュート。相手DFに当たったボールはネットに吸い込まれた。

"ユンスタイル"にとってサイドの使い方は大きなポイントで、開幕戦の琉球戦でも左からのクロスを米倉が頭で決めて決勝点を奪っている。前出の水戸戦の先制点の場面でも、米倉が右サイドを持ち上がると、ここぞとばかりにFW、左サイドハーフ、ボランチがエリア内に走り込んだ。

 少ないチャンスを確実に仕留めて先制点を奪い、相手を誘い込んで、カウンターで追加点を狙う――指揮官の考えが浸透している証拠だろう。
 現に水戸戦では運もあったとはいえ、56分に田口泰士の直接FKでリードを広げ、後半アディショナルタイムには、後方からのフィードを相手DFがクリアし損ねたところを、ワンタッチで船山貴之がスルーパスを送り、抜け出した川又堅碁がトドメの3点目をマーク。途中出場の船山と川又がきっちり仕事をこなした点も好材料だ。

 この日、右SBで先発した田坂祐介によると、試合後には指揮官から「この戦い方を忘れないようにしよう」とのメッセージがあったという。

 一方、守備面でもCB増嶋竜也が「意識が格段に変わっている」と証言するように、3試合で1失点と固さを見せ始めている。こちらも相手をサイドに追い込み、単調なクロスを蹴らせれば、増嶋、チャン・ミンギュのCBコンビを中心に撥ね返す力強さも発揮。ユン・ジョンファン監督の真骨頂、堅守速攻スタイルのベースはできつつあると言えるだろう。
 

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