天野純、進化を証明した2ゴール!ベルギーでの苦闘を経て“技巧派”から変貌したスタイル

2020年07月09日 藤井雅彦

『ねじ込んだ』という形容詞がピッタリの一撃を叩き込んだ

湘南との神奈川ダービーで2ゴールを挙げた天野。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ3節]横浜3—2湘南/7月8日/ニッパツ

 変わったのは背番号だけではなかった。体重などフィジカル面が大きく強化されたわけでもない。それでも実際のプレーは確実に力強さが増し、表情には自信がみなぎっていた。

 途中出場でピッチに立った天野純の2得点が、横浜の今季初勝利を大きく手繰り寄せた。もっともポジションはダブルボランチの一角で、先発した浦和戦でプレーしたトップ下ではなかった。

 先制された横浜はシステムを4—4—2に変更。天野は喜田拓也と中盤の底でコンビを組み、3列目から攻撃に絡んでいく。配球役を務めて攻撃のリズムを作りつつ、得意とするランニングプレーで高い位置に進出してフィニッシュ場面にも顔を出す役割だ。

「GKが前に出ていたので、あのあたりに落ちればいいなと思った」と振り返る1点目は持ち前のテクニックが光る技ありの一撃。より進化を示したのは自身の2点目だろう。

 エジガル・ジュニオに入れたくさびのパスからリターンを受けると、迷うことなく相手DFが密集する地帯へ。強引なドリブル突破でシュートコースを自ら作り出し、左足を振り抜く。『ねじ込んだ』という形容詞がピッタリの一撃を叩き込んだ。

「ああやってエリア内に侵入していくのは去年から含めてあまり多くない形だったけど、あそこでゴールを決め切れたことで成長を見せられたかなと思う」

 はにかみながらも、公式戦の舞台で手応えを得られたのは大きな収穫だ。

 ちょうど1年前、天野は念願の海外移籍を果たした。優勝争いをするチームを離れることに抵抗がなかったわけではない。しかし、かねてから追いかけていた夢を実現させるチャンスを逃したくなかった。

 ベルギー2部・ロケレンでの戦いは簡単ではなかった。横浜のようにポゼッションにこだわる戦術ではなく、求められるのはとにもかくにも個の能力。ヘディングでの競り合いなど不得手な土俵で戦わざるをえない場面も多く、欧州独特のフィジカル重視のサッカーに頭を悩ませた。
 

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