【CLポイント解説】パリSG 1-1 チェルシー|勝ち切れなかったパリSGの消極性、アウェーゴールを奪ったチェルシーの上出来

2015年02月18日 片野道郎

ともに局面を進めるよりも、ボールを失わないことを優先。

D・ルイス(右端)をアンカーに起用して守備を固めたパリSG。この消極策で前半を無駄にしたことが、勝ち切れなかったひとつの要因だろう。 (C) Getty Images

1)どちらも腰が引けていた前半
 
 前半は両チームとも慎重な入り、と言えば聞こえはいいが、どちらもラインを低めに保ってプレスの開始位置をハーフウェーラインよりも下に設定。組み立てでもリスクを冒さず、局面を前に進めるよりもボールを失わないことを優先するという、まったく腰が引けた戦いぶりだった。
 
 アウェーのチェルシーが受けに回るのはある意味で当然だが、ホームのパリSGまで、アンカーにD・ルイスを起用して守備を固め、スローテンポで慎重な戦いに終始したのは意外だった。
 
 カウンターからアウェーゴールを喫するのを怖れたためだろうが、前半のボール支配率は47対53。消極的な姿勢で前半を無駄にしたことが、パリSGが勝ち切れなかった原因のひとつだったのは間違いない。
 
2)限られた攻め手
 
 見どころの少ない前半にポイントがあったとすれば、リスクを最小限に抑えることを優先しつつ、どこで相手のゴールに迫ろうとするか。
 
 パリSGは、コンパクトな陣形を保って中央に固まるチェルシー守備ブロックに対し、その外からクロスを送り込んでフィニッシュにつなげようと試みた。11分にはマテュイディ、イブラヒモビッチが立て続けにクロスに頭で合わせたが、クルトワの好セーブに阻まれる。この場面が前半最大のチャンスだった。

 一方のチェルシーは、D・コスタにロングボールを入れてチームを押し上げようと試みるが、T・シウバが的確なマークと読みで常にクリア、ほとんどボールに触らせない。
 
 アザール、ウィリアンの両ウイングもドリブルで仕掛ける場面がまったく作れず、流れからの決定機がゼロだったことはもちろん、ペナルティエリアに侵入する危険な場面すらほとんどなかった。
 
3)決め手はセットプレー
 
 そんなユルい流れの前半でチェルシーが先制したのは、セットプレー崩れの場面から。右サイド30メートルほどのFKからの流れで、クロスのクリアボールをテリーが拾って中央に折り返し、ケイヒルがヒールで触れたボールがイバノビッチの頭にぴったり合ったという、CB3人の共演(!)による半ば偶然のゴールだった。
 
 とはいえ、ケイヒルがフリーだったのはカバーニがマークを放したせいで、D・ルイスもマークについていたイバノビッチに背後を取られてシュートを許すなど、パリSGの小さなミスの重なりが致命傷となった。

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