名古屋、指揮官がこぼした『未熟』という言葉。土壇場の失点は油断と判断ミスのオンパレードだった…

2020年07月09日 今井雄一朗

前半の逆転劇は「素晴らしい」。残念なのは2度の失点シーン

フィッカデンティ監督は後半の内容については納得の表情。それだけに不用意な失点が悔やまれる。写真:徳原隆元

[J1リーグ3節]名古屋2-2G大阪/7月8日/豊田ス

 試合後にマッシモ・フィッカデンティ監督がこぼした『未熟』という言葉が、土壇場で引き分けに持ち込まれたこの一戦を表すには最もしっくりくる。

 試合は想定内で進み、イレギュラーにもしっかりと対応するタフさも出せたのに、最後の最後で気が緩んでしまった。自らもイタリアのプロ選手だった指揮官は"何故なのか"と選手に問いかける。

「どうやって試合を終わらせるかのイメージも持てていたはずなのだが、そこがあまり…。残り1分ではこう、2分ではこう、という練習をする必要があるものかと言えば、どちらといえば疲れていたとしても最後の1分、2分というのは、本来何か特別な力が出るものだと思っている。それが精神的なものなのか、なぜ出せなかったのかという部分が残念だ」

 試合展開として"残念"だったのは開始6分で先制された部分と、後半のアディショナルタイムに失点をした部分、この2点に尽きる。逆に言えばそれ以外の時間はほぼ名古屋が主導権を握っていただけになおさらだ。
 
 偶然の要素も絡み合ったセットプレーでの1失点目は指揮官もそれほど気にしていない。そこから10分で追いつき、相手のミスを見逃さずに仕留めたショートカウンターでの逆転劇は「素晴らしい」と絶賛し、「1時間ほどは名古屋が支配した試合だったと思う」と後半の内容についてもやはり納得の表情だった。

 この日のG大阪の攻撃は単調で、序盤こそ大きな展開に守備陣が振り回されたが、慣れてしまえば対処はそれほど難しくはなかった。普段から練度を高め続けているポジショニングとスライド含めた連動性は、宇佐美貴史や井手口陽介ら相手のキーマンにスペースを与えず、ボールを奪ってからの展開も成瀬竣平の思い切った敵陣へのパスが効果的で、トップ下に入ったシャビエルも良い仕事をした。

 後半に入ってパトリックと渡邉千真を使ったハイボール戦術が増えてもチームは動じず、丸山祐市と中谷進之介の両センターバックが身体を張って強攻策に蓋をし続けた。マイボールの保持も阿部浩之を中心に効果的に行ない、カウンターをちらつかせながらの時間の浪費はなかなかに強者のそれとして様になっていたようにも見えた。

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