【J1展望】大分×鳥栖|激戦必至の“九州ダービー”。大分は新オプションを披露か?

2020年07月03日 サッカーダイジェストWeb編集部

大分――前線は毎試合、メンバーを入れ替える可能性を示唆

故障者/大分=高山 鳥栖=なし
出場停止/大分=なし 鳥栖=なし

J1リーグ2節
大分トリニータ―サガン鳥栖
7月4日(土)/18:30/昭和電工ドーム大分
 

大分トリニータ
今季成績(1節終了時):15位 勝点0 0勝0分1敗 0得点・1失点

 大分の代名詞といえばGKを含めた最終ラインからのビルドアップ。自陣で丁寧にパスをつなぎ、相手を動かして隙を狙ってスピードアップする。就任5年目を迎える片野坂知宏監督の下、戦術は成熟している。ただし、フィニッシュが昨季からの懸念材料であり、今季の公式戦2試合は無得点。中断前は改善の兆しが見えていなかった。

 そこで中断期を利用して新たなオプションを増やした。片野坂監督は「戦い方の幅が広がった。ある程度の手応えはある」と自信を覗かせており、紅白戦や練習試合を重ねて実戦レベルに達したようだ。今季は交代枠が5人となったことも追い風となり、「得点を取るための戦術変更ができる」とポジティブに捉えている。その新オプションはリーグ再開初戦の鳥栖戦でお披露目となるだろう。

 今季はエースとして期待される知念慶を筆頭に渡大生、町田也真人、野村直輝ら持ち味の異なる前線の選手を複数獲得した。片野坂監督は「コンディションやコンビネーションを見極めたい」と先発を固定せず、連戦に備えて毎試合メンバーを入れ替える可能性を示唆している。そう、ふた桁得点者を4人出した18年シーズンのように。

 知念は「サイドからのチャンスが多い。ワンタッチゴールを極めたい」とクロスからのシュートイメージを膨らませている。貧打解消のオプションに注目したい。
 
 一方、守備面では「昨年以上にポジショニングが細かくなった」(松本怜)という。使わせたくないスペースを明確に定め、守備を始める位置を柔軟に変えるなど、局面によって陣形を用意している。今季から加わった岩瀬健ヘッドコーチなど有能はスタッフとともに、すべてがピッチ上のパフォーマンスに結びつくように綿密なゲームプランを組み立てるだろう。

 戦術的に高い位置でボールを奪い、素早く攻撃に転じるような形を狙っておらず、攻め急ぐ必要はない。自陣深くまでラインを下げることも躊躇しない。昨季の中盤から固定された3バックは盤石。左から三竿雄斗、鈴木義宜、岩田智輝と並び、それぞれの持ち味である1対1の対応もさることながら、カバーリングでも周囲との好連係を見せている。

 知念は「大分に加入して選手個々のレベルが高いことに驚いた。特に最終ラインは個人の能力と組織力が噛み合っている」と絶賛する。大崩れの心配はなさそうだ。

 知念、渡は仕上がりが良く、早い段階で得点すれば連戦の勢いに乗り、まとめ取りしそうな雰囲気はある。群馬から加入した高澤優也の存在も面白い。当初から豪快なシュートとポストワークには目を見張るものがあったが、ここにきて周囲との息が合ってきて特長が活きている。戦力として計算できるメドが立ったのは間違いない。ふた桁得点者が複数人出れば、目標の6位以内は現実味を帯びてくるだろう。

取材・文●柚野真也(フリーライター)
 

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