Jリーグ再開後の3大注目ポイント! 過密日程と酷暑のダブルパンチ――有利なのは川崎か

2020年07月02日 後藤健生

コロナ禍のJリーグで特筆すべきポイントは?

異例のシーズンで優位なのは川崎か。後藤氏が推す理由とは――。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 J2・J3リーグが6月27日に再開・開幕を迎え、J1リーグもついに7月4日から再開する。約4か月間の長期中断期間を経て行なわれる今シーズンは、過密日程を考慮し、「5人交代制」や「降格なし」のレギュレーション変更や、リモートマッチなど、いまだかつてない状況での開催に、波乱の展開も予想される。
 
 ここでは、"コロナ禍"のなかで行なわれる今シーズンのJリーグで、3つの注目ポイントをサッカージャーナリストの後藤健生氏に挙げていただいた。コロナがもたらすリーグ、クラブへの影響、特筆すべき点を紹介していく。
 
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【ポイント1】過酷なサバイバルレースを乗り切れるのはどこ?
 
 約4か月の中断を経て再開したJリーグ……。12月まで6か月弱の間にJ1リーグで33試合、J2ではなんと41試合を戦う強行スケジュールとなる。代表ウィークにも中断せずに戦いが続くので、メンタル的な疲労も激しいことだろう。当然、選手層の厚いビッグクラブが有利だ。
 
 もう一つ、難しいのは再開直後に夏の猛暑を迎えることだ。トレーニング不足で、暑さの中でのプレーに体が慣れていないだけに、連戦は選手の体力を確実に消耗させる。運動量で勝負するチームより、ポゼッション志向でボールを動かすチームが有利というのはいつもの通りだが、今年はその傾向が一層強まる。
 
 選手層が厚く、ボールを動かすスタイルのチーム……。2つの条件を満たすのは川崎フロンターレだ。昨年の川崎は負傷者が多く、選手をやり繰りしながら戦った試合も多かったが、その経験が生きてくる。複数ポジションをこなせる選手も多いし、大学サッカー屈指のアタッカーだった三苫薫と旗手怜央も加入して層はますます厚くなっている。
 
【ポイント2】多くなるジャイアントキリング
 
 今季のJリーグは降格がなくなり、交代枠が5人に拡大された。過酷な夏場の連戦。優勝を狙うチームはローテーションを使って、疲労を溜めないようにするしかない。連戦の最中に下位との試合があれば、メンバーを落とすことも必要だ。いわゆる「谷間の試合」である。
 
 下位チームにとってはそこが狙い目だ。降格がないのだから、例年なら最優先となる下位同士の"直接対決"は無視して、上位との試合に照準を合わすことができる。
 
 そして、5人の交代枠が武器となる。上位チームにとっては選手交代もローテーションの一環なのだが、下位チームにとっては下克上のための武器として使えるのだ。たとえば、守備の強い選手でスタートして後半までスコアレスで持ちこたえ、一気に5人を交代させて攻撃に移る……。そんなギャンブルもできる。J2開幕節では前半0-3でリードされた愛媛FCがハーフタイムに3人を交代させて流れを変え、大逆転勝ちした試合もあった。それをもっと計画的にやれば大きな武器となるだろう。
 
「ジャイアントキリング」はサッカーの醍醐味の一つ。下位チームには果敢な挑戦を期待したい。
 

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