30年ぶりのリーグ制覇を支える! 英敏腕記者が選んだリバプール“陰の功労者”3人は?【現地発】

2020年07月04日 ジョナサン・ノースクロフト(イングランド『Sunday Times』紙記者)

“補強失敗”が極端に少ない敏腕SD

指揮官のクロップとはプライベートでも親密な関係にあるエドワーズ(左)とゴードン(右)。30年ぶりの戴冠に大きく寄与した。 (C) Getty Images

 リバプールが、1989-90シーズン以来となる30年ぶりのトップリーグ優勝を決めた。最大の功労者はユルゲン・クロップ監督だろうが、ここではクラブを陰で支えた3人を紹介したい。この3人がいなければ、リバプールのリーグ制覇は実現しなかったといっても過言ではない。それほど重要な役割を果たしたキーパーソンだ。

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マイケル・エドワーズ(スポーツディレクター)

 今やチームの大黒柱となったモハメド・サラーの獲得をクロップ監督に進言し、17年の夏に2部降格が決まっていたハルから左SBのアンドリュー・ロバートソンを格安で引き抜いた、スポーツディレクターだ。

 現在はリクルート部門のトップとして、選手の獲得と売却を取り仕切る男は、2011年にフットボールアナリストとしてリバプールに入団し、16年に37歳の若さでスポーツディレクターに昇格。15年にクロップを招聘した際にも、実質的な監督人事を担当した。

 さらに、前出のサラーとロバートソンのほか、フィルジル・ファン・ダイクとアリソンの補強もまとめた実績がある。
 
 17年1月に迎え入れたファン・ダイクの移籍金は、当時、DFとしては史上最高の7500万ポンド(約105億円)。18年7月に加入したアリソンの移籍金も6700万ポンド(約93億8000万円)と高額だったが、エドワーズによるデータ分析の結果で「適正価格」との結論になったという。

 マンチェスター・ユナイテッドがハリー・マグワイアに8000万ポンド(約112億円)、チェルシーがケパ・アリサバラガに7100万ポンド(約99億4000万円)の移籍金を投じたことを思えば、彼らを凌駕するパフォーマンスを見せているファン・ダイクとアリソンの移籍金は、むしろ安価だったと言えよう。

 クロップの意見を取り入れつつ、サラーの補強のように自ら獲得を進言するなど、今のリバプールを形作ったキーパーソンである。彼がSDに就任した16年以降、リバプールの補強に失敗が極端に少ないのも特筆に値する。

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