【コロナ禍のJリーグ3つの焦点】無観客で逆転の空気が生まれない…今季は“格差シーズン”か!?

2020年07月01日 佐藤俊

人件費圧縮でベテランはピンチ? ホームアドバンテージは消失か

6月27日に行なわれたJ2再開戦の東京V対町田。試合は東京Vが終了間際に追いつき、1対1の引き分けに終わった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 Jリーグは6月27日・28日にJ2が再開、J3が開幕。7月4日には約4か月の中断を経て、いよいよJ1が再開される。過密日程となるなか、「5人交代制」「降格なし」といった今季限定のレギュレーションも採用される異例のシーズンはどのような展開を見せるのか。コロナ禍のJリーグで注目すべき3つのポイントを、サッカー界に長く携わってきた識者の方々に挙げていただいた。
文●佐藤俊(スポーツライター)

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◇ベテランの奮起

 今シーズンは、ベテランにとって例年以上に厳しさが増すだろう。過密日程になり、コンディションの調整が難しい。降格がないので、チームは未来を見据えてチームスタイルの熟成と若手の育成に転換する可能性が高い。おそらく、多くの監督、特に外国人監督は若手の起用に舵を切るだろう。また、今年はコロナ禍の影響により、広告収入、入場料収入などが減収になるためクラブの収益の悪化し、人件費を圧縮すると言われている。そのため、今年が契約更改となる高給のベテラン選手は、契約満了という事実上のクビを宣告される可能性が高い。

 だからこそ、ベテランにはチャンスだ。まだまだやれるベテランが多いので違いを見せて、自分は契約する価値がある選手であることをプレーで証明してほしい。今年のリーグ戦は、ベテラン選手の意地とプライドに満ちた存在感溢れるプレーが例年以上に見られるはずだ。
 

◇ホームアドバンテージ消失

 ホームでのサポーターの応援は、選手を後押しする力水となり、相手選手にプレッシャーを与えるなど、勝敗に大きく影響する力が働く。だが、今年はコロナ禍の影響により、J2、J3は無観客で始まり、J1も4日のリスタートは無観客だ。Jリーグは7月10日以降、観客を入れていくとのことだが段階的であり、しばらくは練習試合のような中で、淡々と試合をこなしていくことになる。

 つまり満員の見慣れたスタジアムになるのは、しばらくは困難で、ホームアドバンテージはほぼ皆無に等しくなる。勝敗を左右する何かを起こす。逆転のムードを作る。そうしたものを醸成する外的な空気がなくなり、チーム力の差が試合にそのまま出ることになる。戦力的な厚みがあるチーム、個の質が高いチーム、戦術が奥深く浸透しているチームが順当に勝つケースが増えるだろう。今年のJ1は、番狂わせが少なく、上位と下位が明確に分かれる格差シーズンになるとみる。

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