香川の復調ぶりと岡崎の価値の高さを感じさせた“シンジ対決”

2015年02月14日 遠藤孝輔

完勝したドルトムントだが盤石にあらず。正当な評価はこれから。

久々の連勝を飾ったドルトムント。課題はまだ残るも、最悪の状況は脱しつつあるようだ。 (C) Getty Images

 残留争いからの早期脱出を期す16位ドルトムントが、13位マインツを本拠地ジグナル・イドゥナ・パルクに迎えた一戦は、4-2でホームチームに軍配が上がった。
 
 ブンデスリーガにおけるドルトムントの連勝は、アウクスブルク、フライブルクを連破した2~3節以来で、チャンピオンズ・リーグとDFBカップを除けば、4ゴールを量産したのは今シーズン初。19節終了時点で最下位に沈んでいたチームは、この勝利で暫定ながら14位まで巻き返している。
 
 戦前にブンデスリーガ公式サイトのドイツ語版が「香川真司(ドルトムント)と岡崎慎司(マインツ)のデータ比較」を展開するなど、"ふたりのシンジ"による日本人対決としても話題をさらったこの注目カードを、4つの項目から振り返ってみよう。
 
1)勝利を手繰り寄せたのはロイス
 
 勝負を分ける違いとなったのは、ドイツ代表のMFマルコ・ロイスだった。バイエルンをはじめ、レアル・マドリー、マンチェスター・シティなどメガクラブへの今夏の移籍が確実視されながら、試合の3日前にドルトムントと契約延長(2019年6月まで)するビッグサプライズを提供していたエースは、ピッチ上のパフォーマンスでもサポーターを狂喜乱舞させた。
 
 1点を追う展開だった前半から、その動きは冴えていた。3分にゴールポストの右を叩くシュートを放てば、8分にはスルーパスでピエール=エメリク・オーバメヤンの決定機をお膳立て。3ボランチを形成して、中央部のガードを固めるマインツ守備陣にとって、これ以上ない脅威となっていた。
 
 効果的なジャブを繰り出していたロイスが、鮮やかなストレートを炸裂させたのは1-1で迎えた55分。バイタルエリアでフリーとなったケビン・カンプルのスルーパスに鋭く反応すると、最後はGKを難なくかわして無人のゴールマウスにボールを流し込んだ。
 
 さらなる圧巻は71分。右足アウトサイドで糸を引くようなアーリークロスを撃ち込み、チームの3点目を華麗に演出してみせたのだ。いずれもスピードや敏捷性に欠けるマインツのCB、シュテファン・ベルの弱点を見事に突いたプレーだった。
 
 シーズン前半は怪我の影響で不完全燃焼に終わるも、ここにきてエンジン全開のロイスが、チームのノルマである1部残留、そして2月24日のチャンピオンズ・リーグで激突するユベントスを破るうえでの最大のキーマンとなりそうだ。
 
2)低迷ドルトムントの復調具合
 
 データ上では、ドルトムントのシュート数は21本(枠内11本)と、6本(枠内2本)のマインツを完全に凌駕。さらに時計の針が進むにつれ、2~3人が一斉に囲い込む前線でのプレッシングがハマり出すなど、ドルトムント本来の強みも発揮していた。
 
 それでも、中盤での不用意なボールロストや、縦に急ごうとするあまりのパスミスが散見されたのは事実。主将のマッツ・フンメルスが欠場した最終ラインも、ネベン・スボティッチとソクラティス・パパスタソプーロスの両CBが失点に直結する緩慢な守りを見せるなど、盤石ではなかった。
 
 9節以降はわずか1勝のマインツが相手だったことも、ドルトムントの状態を推し量り切れない理由だ。
 
 暫定で最下位に転落しているシュツットガルトのホームに乗り込む次節のゲームをモノにして、24日のユベントス戦、28日のシャルケ戦で好結果を収められるか。評価は、そこで下される。

次ページゴールに近づきつつある香川、無得点でも存在感を示した岡崎。

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