【THIS IS MY CLUB】リモート応援システムの“仕掛け人”に直撃!磐田が導入を進めたのは「コロナがキッカケではなかった」

2020年06月25日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

「選手がプレーに集中できなかったら本末転倒」

リモート応援システム導入の経緯について柳原本部長に訊いた。※写真は取材時のスクリーンショット

 この度、サッカーダイジェストもその一員となっている「DAZN Jリーグ推進委員会」では、「THIS IS MY CLUB – FOR RESTART WITH LOVE - 」と称して、各クラブの幹部やスタッフにインタビューを実施した。ジュビロ磐田では、「リモート応援システム」の導入を進めた事業戦略本部の柳原弘味本部長に、開発の裏話などを伺った

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――事業戦略本部はどんな仕事をしているのですか?

「事業戦略本部の下に企画部と広報部があります、企画部は文字通り色々な企画をして、広報はそれを広めていく。そういう戦略を考えていく部署です」

――リモート応援システム発案のきっかけは?

「まずうちの株主でありスポンサーでもあるヤマハ株式会社さんが『SoundUD』というシステムを開発しました。例えば、東京オリンピックで日本に来た海外の人が、電車のアナウンスを聞いたら、自分の言語で文字化されて、端末で見られるとか、そういうことができるシステムです。

 昨年の11月にそれをジュビロのアプリに組み込んで、スタジアムへのシャトルバスの音を拾い、そのバスを使った人だけにドリンクのクーポンが当たるというような実証実験をやりました。そのヤマハさんのシステムを活かして、元々は病気や高齢などが理由で、スタジアムに来られないファン・サポーターの方が、アプリを使って声援を届けられるようにしようと開発を始めていたのがリモート応援システムでした。今回たまたまコロナで観客が入れない流れになっていたので、本格導入を進めることにしたんです」

――苦労した点は?

「苦労というよりも、一番大事なのが、何のためにやるかなんですね。応援は何のためにあるかと考えたら、もちろん勝利の後押しをするためにじゃないですか。だから、選手にとって本当に良いものになっているかどうかを、もっとも気を付けました。選手に違和感があって、プレーに集中できないとか、邪魔になるようなことがあっては本末転倒ですから」
 
――アスルクラロ沼津戦でテストしましたが、選手の反応は?

「ネガティブな意見はなく、おおむね好評でした。キックオフの45分前から音を入れ出したんですが、上原力也選手が『ロッカールームにいる時に声が聞こえて、モチベーションが上がった』とコメントしていました。それを聞いて、スピーカーの音でも選手には大切なんだと、気付かされましたね。

 当日はDAZNを見ながら、どのぐらいの音で出るのか、スタジアムでは実際にどんな感じで聞こえるのか、選手にとってうるさくないのか、近隣に迷惑がかかるような音になっていないか、そういったところをチェックしていました」

――ジュビロでは7月5日のホームの岡山戦から活用する?

「そうですね。他にも実施するクラブはヤマハさんと直接契約を結んでやることになりました。再開日の6月27日から、実施するクラブもあると思います」

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