悩めるレバンドフスキにゴールは戻ってくるのか 【バイエルン番記者】

2015年02月13日 パトリック・シュトラッサー

最後のゴールはウインターブレイク前まで遡る。

思うような結果を残せていないレバンドフスキ(右)。悩めるストライカーに必要なものは――。 (C) Getty Images

 ドルトムントの主力が3年連続でバイエルンにやって来ることは、どうやらなさそうだ。
 
 2013年夏、マリオ・ゲッツェが移籍した。1年半前の出来事だとは、にわかに信じられない。
 
 14年夏、ロベルト・レバンドフスキがこれに続いた。ドルトムントとの契約が満了したブンデスリーガ得点王を移籍金ゼロで手に入れたバイエルンは、笑いが止まらなかっただろう。
 
 15年夏、マルコ・ロイスのバイエルン入りが確実視されていた。しかし、ロイスはドルトムントとの契約を2019年まで更新したのである。
 
 ロイスがバイエルンに移籍するだろうと思われていたのは、更新前の旧契約に2500万ユーロ(約35億円)の違約金で移籍を認めるという条項が盛り込まれていて、それが15年夏から適用される取り決めになっていたからだ。
 
 何がロイスにドルトムントとの契約更新を決意させたのか。ゲッツェとレバンドフスキが新天地で苦しむ姿を見て、思うところがあったのかだろうか?
 
 そう、ゲッツェもレバンドフスキも、バイエルンで本領発揮には至っていない。2年目を迎えてもゲッツェはスタメンの座を確保できず、1年目のレバンドフスキは出場機会こそ得ているものの、ゴールという結果を残せていない。
 
 ゴールの話題には、レバンドフスキ本人も神経過敏になっているようだ。ノーゴールに終わった20節シュツットガルト戦(チームは2-0の勝利)後の取材で、「6試合無得点」と間違えた記者を「4試合無得点」と訂正していた姿が印象的だった。
 
 本人が言う通り、レバンドフスキはブンデスリーガで4試合ノーゴールが続く。最後の得点はウインターブレイク前まで遡り、昨年12月13日の15節アウクスブルク戦(4-0)だ。
 
 ここまでブンデスリーガは18試合・7得点、チャンピオンズ・リーグは6試合・2得点、DFBカップは2試合・1得点。3つのコンペティション合わせて10ゴールは、まったく期待に沿う成績ではない。
 
 昨シーズンまでドルトムントで3年連続20ゴール超えを果たし、24ゴールを挙げたラストイヤーは得点王に輝いた。その3年間で66ゴールだから、1シーズン平均22ゴールを量産していた。それがバイエルンでは……。
 
 前述のシュツットガルト戦、レバンドフスキは大きなチャンスを二度逃した。
「なにを言えばいい? 冷静でいなければ」
 本人は落ち着いて語る。
「フォワードにとって、(ノーゴールは)よくあること。ひとつ決まれば、次が続くだろう。そう願うよ」
 その願いは、バイエルンも同じだろう。
 
 どうしたらレバンドフスキはこの苦境を脱することができるのか。ただピッチに立ち、プレーを続けるしかないだろう。
 
 同じストライカーの先達たちは、そうやって壁を乗り越えてきたのだ。彼らは言う。とにかく練習に打ち込むこと。自分を信じること。そしてチャレンジを続けること。そうすれば、おのずとゴールは戻ってくる、と――。
 
「レバンドフスキは世界一のセンターフォワードだ」
 バイエルンOBのディトマール・ハマンはそう語る。レバンドフスキに必要なのは、そう信じ切るみずからへの確信だ。
 
【記者】
Patrick STRASSER|Abendzeitung
パトリック・シュトラッサー/アーベントツァイトゥング
1975年ミュンヘン生まれ。10歳の時からバイエルンのホームゲームに通っていた筋金入りで、1998年にアーベントツァイトゥングの記者になり、2003年からバイエルンの番記者を務める。2010年に上梓した『ヘーネス、ここにあり!』、2012年の『まるで違う人間のように』(シャルケの元マネジャー、ルディ・アッサウアーの自伝)がともにベストセラーに。
【翻訳】
円賀貴子
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