【徹底検証】“新生”エスパルスが藤枝戦で見せた確かな進化。大きな爪痕を残したアタッカーは…

2020年06月15日 前島芳雄

カルリーニョス・ジュニオが無回転気味の強烈なミドルシュートを突き刺す

10番を背負う新加入のC・ジュニオ。加入が遅れた影響でリーグ開幕戦には出場しなかったが、中断期間でコンディションを上げている。(C)S-PULSE

 J1の清水は6月13日にJ3の藤枝と練習試合を行なった。約2か月半ぶりの対外試合となったこの一戦では、Jリーグ再開後の試合運営のシミュレーションを兼ねており、無観客ながら声援がスタジアム内に響くリモート応援システムも試された。

 全クラブに言えるかもしれないが、中断期間は戦術の浸透、熟成に時間を注げるという意味で、プラスに作用した面はあるだろう。特に清水はピーター・クラモフスキー新監督の下、ポゼッションが軸の攻撃的な新スタイルへと生まれ変わった。中断は大きな意味を持つはず。また、今季は新たに3選手が加入してブラジル人助っ人が計6人。彼らの順応具合も気になるところだ。

 本稿では、藤枝戦で見えた収穫、課題を明らかにし、再開時にいかなる期待が持てるのか検証する。
 
 まず試合結果を先に言ってしまえば、Aチーム同士の1本目(90分)が2-2。Bチーム同士の2本目(90分)が4-3。トータルで勝利したとはいえ、今季3度の藤枝との練習試合でAチーム同士では2分1敗と勝てていない。もっとも、内容は過去の2試合とは異なっていた。

 大きな変化はチャンスがかなり増えたことだ。名将・石﨑信弘監督が率いる藤枝は、守備時に5バックの布陣でJ3屈指の堅守を見せる。それに対し清水は「15回ほどチャンスが作れていた」とクラモフスキー監督が言うように、ボールを速く動かしながら崩すなど攻撃のバリエーションが増え、以前ほど5バックの攻略に苦心しなかった。

 特に輝きを放ったのがクラブ初の「外国人10番」カルリーニョス・ジュニオだ。加入が2月下旬と遅れたうえに当初は別メニュー調整が続いていたブラジル人助っ人は、藤枝戦で初めてサポーターやメディアの前で実戦に登場。コンディションや連係は発展途上のようだが、1本目の前半30分に左からドリブルでカットインし、右足で無回転気味の強烈なミドルシュートを決めた。
 

次ページ「距離感とか、どういう形で攻撃するのかはイメージしやすかった」(岡崎)

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事