「正直、イラつく」「今まで何もなかったのに…」人種差別抗議に疑問!? 現役プレミアリーガーの悲痛な訴え

2020年06月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

「警官たちによってステレオタイプ化されている」

人種差別問題により強く、自身の考えを訴えたのは、現役プレミアリーガーのアンドレ・グレイだ。 (C) Getty Images

 先月25日にアメリカで黒人男性のジョージ・フロイドさんが、手錠で身柄を拘束されたまま、白人警官に膝で首を圧迫されて死亡したショッキングな事件を機に、世界で人種差別に対する抗議活動の輪が広がっている。

 サッカー界でも抗議の声を上げる選手は増え続けており、ジェイドン・サンチョやマリオ・バロテッリ、ポール・ポグバなど著名なスターたちが人種差別に立ち向かう意思を表明している。

 そうしたなかで、リアルな差別の現状を世間へ訴えたのは、ワトフォードに所属するイングランド人FWアンドレ・グレイだ。

 ジャマイカにルーツを持つグレイは、2009年にシュルーズベリーでプロ生活をスタートさせて以来、11年に及ぶキャリアを積み重ねてきたが、その間には様々な差別被害に遭っていたという。英紙『Guardian』の取材で、「無知な人間がいまだにいる」と強調した。

「問題なのはアメリカで起きている残虐行為やジョージ・フロイドについてだけではない。イングランドや他の世界各国で起きていることも同じだ。ここ(英国)では、武器を持った警官たちが街中にいないのは幸運だと思う。俺たちは警官たちによって、ステレオタイプ化されて判断されているからね。

 警官に何度停められたことか分からないよ。俺が黒人だから買い物をしていて警備員につけられたことが何度あるか。誰かからサッカー選手なのかを尋ねられた回数も数えられない。俺が良い車から降りてきたからさ。結局のところ、この国には3人の俺がいる。サッカー選手、ラッパー、ドラッグディーラーの俺がね。これが事実なのさ」
 
 さらに「今やっているデモの意味は至る所にある体系的な人種差別に反対することだ」と口にしたグレイは、怒りを交えて、こう続けた。

「人々が目を覚まして、この現状を目にするまで、あまりに長い時間がかかっているのは残念でならない。今までどれくらい続いてきたかってことさ。400年間、今に至るまで何も変化はなかったんだ。

 なぜこの個別の件(フロイドの死)が、こんなにも大騒ぎになっているのかは俺からすれば、奇妙に感じる。彼が死んだときのような映像は、ずっと、ずっと、ずっと見てきたからね。見慣れていないものではなかった。とても悲しいことだが、それが事実だ。他の人たちにとってはより不安になるものかもしれないが、俺や多くの黒人にとっては、当たり前のことになっていたんだ。

 祖先、祖父母、両親、そして、いまの俺たちが対処しなければいけなかったものは、厳しくもリアルな現実だった。だから、人々がこの件について話すことには、正直、イラつくよ。今だけではなく、全ての歴史や起きている出来事を全員が知っているんだからね」

 グレイのように実体験をもとに、現状を嘆き、改善を訴えるアスリートは少なくない。彼らのためにも、世界から様々な差別が根絶される日が来ることを信じたい。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事