川崎加入内定の逸材ボランチが、スカウトにインパクトを与えた成長のシーズンとは?

2020年06月05日 林 遼平

「サッカーが大好きなサッカー小僧」の性格も相まって

川崎への加入が内定した橘田。すでに練習参加をしていた。(C)SOCCER DIGEST

 中盤でのボール奪取や緩急をつけたドリブル。多彩なプレーを持ち味とし、大学ナンバーワンボランチとも呼ばれる逸材が、3年連続でタイトルを獲得している川崎のユニホームに袖を通すこととなった。
 
 川崎は5日、桐蔭横浜大に所属する橘田健人の来季加入内定を発表し、クラブハウス内でリモート取材を実施した。橘田は「小さい頃から川崎の試合をよく観ることがあって、素晴らしいパスワークに憧れていた。とても嬉しい気持ちでいっぱいです」と川崎に入団したことへの喜びを語ったうえで、「卒業するまでに(特別指定選手に登録されて)川崎でプロデビューしたい」と意気込みを語った。
 
 鹿児島県出身の橘田は、高校では地元の強豪校である神村学園に入学。小柄ながら切れ味鋭いドリブルを武器に、3年次はエースナンバーとなる14番を背負ってチームを牽引した。

 ただ、大学に入ってからは壁にぶち当たる。入学当初は試合に絡んでいたものの、今までの人生において「試合に出られない経験がほとんどなかった」なかで、1年生の後期からはなかなか出場機会を得られず。それによって幼い頃から夢見ていたプロの舞台も、「現実的に無理かなと思う時期があった」と言う。
 それでも、桐蔭横浜大の安武亨監督から攻撃面だけでなく守備面の改善を求められて以降、徐々にプレースタイルが変化。「サッカーが大好きなサッカー小僧」(安武監督)の性格も相まってひたむきにプレーに集中し続けた。そして新人戦の2連覇など結果を出して自信を掴むと、プレー面だけでなくメンタル面でも大きく成長を遂げていった。

 スカウトの目に留まったのは、大学3年生の時だ。川崎のスカウトを務める向島建氏は、神村学園高時代から存在を認識し、当時から「小柄だったので大学に行ってどうなるのか」を見ようと考えていた。そして、今季に桐蔭横浜大から加入したイサカ・ゼインとともに注目して追っていた矢先、3年生になって大きく成長を遂げる橘田を目の当たりにした。

「3年生のシーズンがすごく自分のなかでインパクトがありました。全日本(大学選抜)に入ったのもそうですが、特に身体が大きくなってタフになった。もともとパスやドリブル、トラップといった基本的な技術は備わっていた。それプラス、守備のところですごく戦える選手になった。本当に運動量が豊富で、ミスが少ない選手だと思ってかなり注目して見ていました」(向島氏)
 
 結果、橘田の獲得に動き、正式に加入が決まった。向島氏は、改めて橘田の将来性について想いを語る。

「このチームに迎える選手において、特に人間性は大事にしている。非常に真面目で黙々とプレーすることができるし、プレーだけでなく純粋に人としての姿勢の素晴らしさを感じた。この選手なら間違いないなと。(同じポジションの)中村憲剛や大島僚太のチームへの貢献度は素晴らしいものがある。そういう中心的な選手になってほしい。健人の良さを前面に出してチームの中心になってほしいですね」

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