「GKもそろそろ…」「満員とは奇跡」風間八宏氏に訊く28年目のJリーグ、その風景はどう変わった?

2020年06月04日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

GKもそろそろ同じユニホームでいいんじゃない?というくらい役割が変わった

現役としてJリーグ開幕を迎えた風間氏は、広島を主将として94年サントリーシリーズ制覇に導く。監督としては川崎、名古屋を率いた。写真:サッカーダイジェスト

 Jリーグは、7月4日にJ1が再開し、それに先行して6月27日にJ2再開とJ3開幕が決まった。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた今シーズンは、ようやく再開への道筋が立ったところだが、いまだ試合を見られずに退屈しているファンのために、「DAZN」では「Re-Live」と称して過去の名勝負を放送中だ。

 今回は現在配信中のサンフレッチェ広島が初のステージ優勝を果たした1994年Jリーグ第1ステージ21節・ジュビロ磐田vsサンフレッチェ広島で解説を務めた風間八宏氏に、Jリーグ誕生前後から今日までの日本サッカーの趨勢について話を伺った。

――◆――◆――

――Jリーグが誕生して27年が経過しましたが、選手、指導者、そして解説者として関わって来られた風間さんから見て日本サッカーの風景はどう変化してきましたか?

 93年にJリーグが始まった時というのは、"異常"でしたよね。どう見ればいいか分からないけど、とにかく物凄いものが日本に現われたみたいな感覚だったと思います。だけど、今はもうこれが日常の話になって、生活の中に普通に溶け込んでいる。それが一番の大きな違いでしょう。

 スタジアムの中でも前はサポーターがそこに「見に行く」ということに価値を置いたけど、今は自分たちで演出したり、あるいは自分たちが見たいものを「見たい」と声を上げ出したりしている。サポーターが一緒に彩ってサッカー場を盛り上げている。その違いはすごく大きいし、それだけサッカー界全体が一体になってきたのが今だと思います。今はそれが日常の光景だから、「無観客試合」というのはちょっと考えられないですね。

――ピッチ内の変化でいうと?

 やはり時代とともにルールが変わってきたので、もちろんサッカーも変わってきている。ポジションの定義も劇的に変わってきていますよ。例えばGKもひとりだけ違うユニホームだけど、もうそろそろ同じでもいいんじゃない? というくらいフィールドプレーヤーとしての役割が求められて、そういう質を持つGKが多くなっている。だから、昔ものすごく評価されていたGKが今だったら違う評価になるかもしれない。

 ルールが変わっていろんな意味でゲームに"参加する"人数が多くなってきたし、極めて11人に近い参加型のサッカーになってきている。スピードも目に見えて上がってきていますよね。

――風間さんが現役プレーヤーだったJリーグ草創期と比べても、そこは大きく進歩している?

 もうそうなるしかない。ルールが変わったこともそうだし、みんなの考え方も変わってきた。例えば、とてつもない選手が出てきても、エースひとりがボールを持つ時間が少なくなっているのは確か。もちろん、最初はひとりの質に頼っていた部分はあると思うんだけど、だんだんチームの結びつきの比重が大きくなってきて、そうなると良い選手の条件もまた変わってくる。

 さっきも言ったように、以前に比べてはるかにスピードは上がったし、ボールも外に出なくなっています。その辺りの質はかなり向上している。ボールが外に出ても、すぐ入るようになりましたしね。数字上で見ても、質の向上は山ほどあると思います。
 

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