【ラ・リーガの優勝争い展望】バルサとR・マドリ―の一騎打ちか。久保や乾のゴールが今季の結末を左右する可能性も

2020年06月03日 吉田治良

スアレスの復帰は新戦力の補強に等しい

バルサの再開初戦はアウェーのマジョルカ戦。メッシと久保が再びマッチアップするシーンも観られるかもしれない。(C) Getty Images

 3月10日の第27節を最後に止まっていたラ・リーガが、およそ3か月ぶりに動き出す。

 再開初戦は、6月11日。第28節のセビージャ対ベティスのアンダルシア・ダービーを皮切りに、ここから平日開催をぎっしり詰め込みながら、最終節に設定されている7月19日までに残り11節分を一気に消化する。

 マラソンで言えば、勝負の35キロ付近で一度レースを中断し、数日後に再び走り出すようなものだろう。リーグ再開後に求められるのは、長距離走の持久力ではなく短距離走のダッシュ力だ。

 新型コロナウイルスによる中断期間中に、個人レベルでどれだけトレーニングが積めたか。コンディションには少なからずバラつきがあるはずで、またチーム練習の許可が下りてから実戦までのスパンが短すぎるといった声も聞こえてくる。もちろんウイルス感染のリスクが完全に去ったわけでもなく、あるいはフィジカル以上にメンタル面のコントロールのほうが難しいかもしれない。

 ただ、少なくとも蓄積されていた疲労は癒えたはずで、多くのチームがガソリン満タンの状態でラストスパートに臨めるのではないか。

 今後の過密日程を考えれば、やはり選手層に厚みのあるビッグクラブが有利だろう。交代5人制のメリットも、ピッチにつぎ込めるリソースに、質の面で限りのある中小クラブより大きいはずだ。
 
 よって今シーズンの優勝争いは、首位バルセロナと、これを2ポイント差で追うレアル・マドリーの一騎打ちとなるとの見方が妥当だろう。マドリーに9ポイント差の3位セビージャ以下が、ここから逆転できる可能性はかなり低い。

 バルサとマドリーの2強は、ガソリンを補充しただけでなく、中断期間中にエンジンもオーバーホールしている。つまり、故障者の回復だ。

 バルサではルイス・スアレス(ハムストリングの負傷で離脱中のウスマンヌ・デンベレは8月に復帰予定)、マドリーではエデン・アザール、マルコ・アセンシオと、今シーズン中の復帰が難しいと思われていた選手たちが、中断期間中に怪我からの回復を遂げ、ピッチに戻ってこられそうなのだ。

 1月12日に右膝外側半月板の手術を行ない、戦列を離れていたスアレスの復帰は、シーズン途中からバルサを率いるキケ・セティエン監督にとって新戦力の補強に等しい。事実、スアレスはキケ・セティエンの下で、まだ一度もプレーしたことがない。頼れるストライカーの離脱を受け、2月に緊急補強したマーティン・ブライトワイトもチーム練習で良い動きを見せているとはいえ、やはりリオネル・メッシのベストパートナーの合流は、キケ・セティエンとバルセロニスタにとって心強い材料だ。
 

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