「ハマってなかった…」デパイが“赤い悪魔の7番”を捨てた理由はデータ分析? 退団時の舞台裏とは――

2020年06月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

退団時にデパイが頼ったのは?

ユナイテッド在籍時には本領を発揮しきれなかったデパイ。そんなオランイェのエースが頼ったものとは? (C) Getty Images

 レッドデビルズ(赤い悪魔の意。マンチェスター・ユナイテッドの愛称)にとって、7番は伝統の背番号である。ジョージ・ベストに始まり、ゴードン・ストラカン、ブライアン・ロブソン、アンドレイ・カンチェルスキス、エリック・カントナ、デイビッド・ベッカム、そしてクリスチアーノ・ロナウド――。幾多のビッグスターが背負ってきたからだ。

 オランダ代表FWのメンフィス・デパイも伝統のナンバーセブンを背負った一人だった。しかし、2015年の夏に始まった彼のユナイテッドでのキャリアは約2年という短命に終わった。

 母国の強豪PSVから鳴り物入りで入団しながらも、ユナイテッド・サポーターたちの期待を裏切ってしまったデパイは、17年7月にリーグ・アンのリヨンに渡ったのだが、これが功を奏す。移籍後3シーズンの公式戦で48得点とゴールラッシュを決め込んでいるのだ。

 一体なぜ、デパイは格下とも言えるリヨンへ、それも移籍金がユナイテッドに移った時の約半分にしか満たない1600万ユーロ(約19億2000万円)にもかかわらず、移籍を決めたのか? そのワケを英紙『Manchester Evening News』が紹介している。

 記事によれば、ユナイテッドでの失敗を悔いていたデパイは、新天地を定めるうえで、自由なスタイルでプレーができること、指揮官の求めるスタイルが明確なこと、チームにおいて自分が重要な存在であること、欧州トップリーグであることの4つを求めたという。
 
 この時、デパイが意見を仰いだというサッカーのデータ分析を行うオランダの企業『SciSports』のギエルス・ブローウェルCIOは同紙の取材で、当時を次のように振り返っている。

「メンフィスは移籍に際して、我々のデータによるアドバイスを求めてきた。そんな彼の希望から我々はデータを収集した。メンフィスのPSVとオランダ代表でのプレーぶりをチェックし、ユナイテッドとのスタイルと比較したんだ。すると、彼がより守備的なアクションをしていることが分かった」

 さらにブローウェル氏は、「あの時のユナイテッドは彼にハマっていなかった」とキッパリと言い放ち、こう続けた。

「左ウイングとセンターフォワードにスタープレーヤーを抱えていない点、プレースタイルの一貫性、パスやトランジションのスピード、サイドの使い方から最終ラインの高さといったあらゆる点からメンフィスにフィットする調査した。そして、最終的には彼のスタイルに合うクラブを5つリストアップし、そのうちの1つがリヨンだったんだ」

 データ分析によって理に適ったクラブを選んだデパイ。金銭面だけではなかった彼のチョイスは、間違ってはいなかったようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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