【セルジオ越後】W杯連続出場はJリーグ誕生の大きな成果! ただし競争力向上、親企業依存からの脱却は必須課題だ

2020年05月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

Jリーグ28年目を迎えてもう一度足もとを見直すべきだ

28年目を迎えたJリーグ。セルジオ越後氏が挙げる課題とは? 写真:サッカーダイジェスト

 5月15日でJリーグは28年目を迎える。1993年に開幕して以来、丸27年の月日が経過したんだね。

 Jリーグは開幕当時、ジーコやリネカー、ラモン・ディアスといった多くのスター選手が集まって華々しいスタートを切った。どの試合もたくさんのお客さんが入って、サッカーは一大ブームになった。同時期に行なわれたワールドカップ・アジア予選の効果も大きかったよね。

 僕は当時のJリーグ幹部の人に聞いたんだけど、プロ化する前の日本リーグ時代のサッカー界は"ケジメがない"のが一番の問題点だと言っていた。ボランティアにしろ、クラブの社長にしろ、好きでやっている人たちが集まって、自分たちのペースでやっているから競争が生まれない。それじゃあ強くならないだろう、ということでプロ化した競争社会で日本サッカーを強くしようという動きが高まっていったというんだ。

 そうして日本サッカーを強くすることで、何を目指したかといえば、やはり日本代表がワールドカップに出ることだよ。隣の韓国はひと足先にプロ化して、それを代表チームの強化につなげていた。日本も93年のJリーグが開幕したシーズンこそ本大会出場を逃したけど、リーグの活性化とともに代表チームも強化されて4年後の初出場につなげ、その後も6大会連続でワールドカップに出場できた。そういう意味では、プロ化した意義が大いにあったんじゃないかな。

 だけど、Jリーグも27年を経過して、もう一度自分たちの足もとを見直すべき時期に来たと思う。課題はいろいろあるよ。例えば、競争力を高めるためにプロ化したJリーグだけど、毎年クラブ数を増やしていったために、トップレベルの選手たちが分散して競争力が低下したのは否めない。代表クラスの選手たちも海外を目指すようになって久しいが、それでもアジア予選やアジアカップで苦戦する現状があるし、選手強化がうまく回っているとは限らないよ。

 韓国は欧州のビッグクラブで中心選手を生み出すようになっているし、中国やタイ、ベトナムも経済力を背景に急速に力をつけている。現状維持の強化では、世界に追いつくのはおろかアジアでも優位を保てなくなるよ。
 

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