「マジで衝撃でしたよ」小野、稲本、本山が“一番スゴイ!”と認定した伝説の名手とは?【黄金の記憶】

2020年05月08日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

「別格。入れないんですよ、その領域に」

左から稲本、小野、本山。数多のワールドクラスと対峙した彼らが口を揃えて激賞したのは?(写真はインタビュー当時)(C)SOCCER DIGEST

 当サイトで好評を博した連載『黄金は色褪せない』。1999年のナイジェリア・ワールドユースで銀メダルに輝いた"黄金世代"のなかから、小野伸二、遠藤保仁、小笠原満男、稲本潤一、本山雅志の5人に登場してもらい、そのフットボール哲学の全容に迫ったインタビューシリーズだ。

 そこで紹介した興味深いエピソードから、厳選した秘話を再度お届けする当企画。今回は3人の選手にぶつけた、「対戦して一番スゴかった選手は誰?」という質問への回答を抜粋して紹介しよう。

 小野、稲本、本山の3人が迷いなく挙げた人物は──。時代を駆け抜けた若き寵児たちに、"ジズー"が与えたインパクトは特大だったようだ。

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 日本サッカー史上、間違いなく「テクニカル部門」で首位の座を争うだろう小野伸二が、これまでに対戦したなかで「コイツにだけは敵わない」と衝撃を受けた選手はいるのか。

 国内外でさまざまなワールドクラスと対戦してきただけに、さぞや悩み抜くかと思いきや──。いやはや、即答だった。
 
「ジズーです」
 
 フランス代表の英雄、ジネディーヌ・ジダンの愛称だ。2002年の夏、UEFAスーパーカップで対戦した。レアル・マドリーとフェイエノールトの顔合わせだ。
 
「まさに銀河系のレアルとやったんですよ。ロベカルがいてラウールがいて、1-3で負けたんですけど、内容はもうぜんぜんです。それはもうすごい面子で。そのなかでもジズーはさらに別格。なんかね、もう入れないんですよ、その領域に。入ったとしても絶対にボールなんて獲れない。マジで衝撃でしたよ」
 
 そう言って、サッカー少年のような笑みをこぼした。

 
 では、稲本潤一は誰を推すのか。1999年のワールドユース決勝で対峙したシャビだろうか。本人は「まあたしかに。自分のタイミングで行ってボールを獲れなかったことはほとんどなかったけど、シャビには歯が立たなかった。くるくると回られたんでね」と説明した。
 
 だが、「一番スゴイ」となると違うらしい。彼もまた、将軍ジダンを選ぶのだ。

「もうね、忘れもしませんよ。2001年(3月)のサンドニ。そう、0-5のね。あん時のジダンだけはホンマに強烈やった。ピッチは雨でびちゃびちゃなんやけど、フランス人にはまるで関係なかったみたい。なにをやっても軽くあしらわれて、間合いにさえ飛び込ませてもらえんかった。好き放題やられて、チームはずるずる失点を重ねて。ちょうど僕は海外のチームを探してるときでね。欧州の代理人がプレーを観に来てくれてたんですけど、あの内容やったから……。総スカンでした」
 
 レ・ブルー(フランス代表の愛称)にこてんぱんに叩きのめされ、トルシエジャパンもファンも、日本サッカー界の誰もが衝撃を受けた「サンドニ・ショック」である。

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