「なんとなくキッカーを見たら…」バルサを欺いたCK弾はなぜ決まったのか? 当事者が語る“奇跡の瞬間”

2020年04月30日 サッカーダイジェストWeb編集部

「調子が悪い日だったら外していたかも…」

世界を驚かせたバルサ戦で決勝弾をねじ込んだオリギ(右)が、ゴールの瞬間を振り返った。 (C) Getty Images

 今から約1年前。「奇跡」と称された逆転劇が完遂した。昨年5月に行なわれたチャンピオンズ・リーグの準決勝でバルサを打ち破ったリバプールである。

 敵地カンプ・ノウでの第1レグを0-3と落とし、後がなくなっていたリバプールは、リターンマッチとなった本拠地での一戦で完璧なパフォーマンスを披露。見事に4-0と勝利してファイナルへと駒を進めた。

 当時、「アンフィールドの奇跡」や「史上最高の夜」と称えられたリバプールのアップセット。その趨勢を定めたのは、試合終盤にディボック・オリギがねじ込んだ決勝ゴールだった。78分にキッカーのトレント・アレクサンダー=アーノルドが立ち去る振りを見せてから素早く蹴り込んだCKに豪快に合わせたあの一撃である。

 守るバルサだけなく、観る者すべての意表を突いたと言っても過言ではない"技あり弾"はいかにして生まれたのか。英メディア『BT Sport』の取材で、ゴールを決めたオリギが詳細に振り返っている。

「あの時、ピッチ内にボールがあった。だから、それをボールボーイへ渡しに行っていた。それからエリア内に歩いて戻ったけど、相手も、僕らもポジションへつくのに時間がかかっていた。

 その時、なんとなく誰がコーナーを蹴るのか見たんだ。キッカーによってコーナーにおける僕のポジションも変わるからね。だからキッカーを見た。そしたら、トレントも顔を上げていたんだよ。それで僕たちは短いアイコンタクトとって、本能的に彼が何かすると分かったんだ」

 まさに阿吽の呼吸から生まれた一撃だったことを説明したオリギは、ゴールが決まった直後のことも回想している。

「かなり難しいボールだった。調子が悪い日だったら外していたかもしれない。でも、シュートを打つ直線にルックアップして、ピケとテア・シュテーゲンが中央寄りにいて、左側ががら空きだったことが分かったんだ。試合状況的にも簡単じゃないシュートだったから入った時は本当に嬉しかったね。精神的に落ち着くのに時間がかかったぐらいだ」

 勝ち進んだ決勝ではトッテナム・ホットスパーを撃破してビッグイヤーを掴んだリバプール。準決勝で起こした"ミラクル"が、彼らの戴冠劇を後押ししたのは言うまでもない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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