権田がアジアカップで存在感を示すも本人は「全然満足のいく大会ではなかった」
日本代表の守護神の座を争う選手たち。左上から時計回りに、シュミット、川島、権田、中村、大迫。写真:サッカーダイジェスト
2018年9月に発足した森保一監督率いる日本代表は、2019年のアジアカップ(UAE)やコパ・アメリカ(ブラジル)を経て、2022年カタール・ワールドカップ・アジア2次予選の戦いに突入した。その後、国際Aマッチは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、現在はストップしている状況にあり、今後どうなるのかまだ先は見えない。いずれ来る活動再開に向けて、森保監督はこれまで、どのようなチーム強化をしてきたのか、ここで検証しておきたい。森保体制下の日本代表におけるポジションごとの序列がどうなっているのかを、今一度、振り返る。(文●元川悦子/フリーライター)
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2018年9月に発足した森保ジャパンの中で、2018年ロシア・ワールドカップまで3大会連続で大舞台に立った川島永嗣(ストラスブール)の後釜探しが重要テーマとなったポジションがGKだ。当初はロシア組で2016年リオデジャネイロ五輪代表の中村航輔(柏)が有力候補と位置付けられていたが、ロシアから戻った直後のJリーグで2度目の脳震盪を起こし、選手生命の危機に瀕してしまった。そんな事情もあり、森保体制初陣の2018年9月のコスタリカ戦(吹田)では東口順昭(G大阪)が先発。当面は彼が正守護神の座を担うと見られた。
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2018年9月に発足した森保ジャパンの中で、2018年ロシア・ワールドカップまで3大会連続で大舞台に立った川島永嗣(ストラスブール)の後釜探しが重要テーマとなったポジションがGKだ。当初はロシア組で2016年リオデジャネイロ五輪代表の中村航輔(柏)が有力候補と位置付けられていたが、ロシアから戻った直後のJリーグで2度目の脳震盪を起こし、選手生命の危機に瀕してしまった。そんな事情もあり、森保体制初陣の2018年9月のコスタリカ戦(吹田)では東口順昭(G大阪)が先発。当面は彼が正守護神の座を担うと見られた。
しかし、続く10月のパナマ戦(新潟)では権田修一(ポルティモネンセ)、ウルグアイ戦(埼玉)は東口、11月のベネズエラ戦(大分)はシュミット・ダニエル(シントトロイデン)、キルギス戦(豊田)は権田と、森保監督は序盤5戦で3人のGKを順番にテストするという大胆策に打って出た。アジアカップで誰を軸に据えるかを決めるために、守備範囲の広さやリーダーシップ、攻撃の起点となる動きなどさまざまなポイントをチェックしていたのだろう。その結果、最終的に選ばれたのは権田。2012年ロンドン五輪を主力として戦い、2014年ブラジル・ワールドカップにも帯同した経験値も買われた模様だ。
UAEに赴いてからの権田は、初戦のトルクメニスタン戦(アブダビ)で2失点からスタートしたが、徐々に安定感とリーダーシップを増していった。決勝のカタール戦(アブダビ)では守備陣と連係面のズレが生じて3失点と不本意な終わり方をしたが、7試合のうち4試合で無失点、総失点6と1試合平均1以下で乗り切り、一定の評価を得た。
だが、本人は自分に厳しい発言をした。
「今大会は出番がありましたけど、個人的に全然満足のいく大会ではなかったし、自分の足りないものばかり見えてくる大会だった。優勝という結果が出ていないし、僕がベストGKを取れるくらいの働きをしていたら優勝できた。僕自身、複数の失点をしているわけで、そこはしっかり見つめ直して、しっかり切り替えてやらないといけないと思います」
この悔しさを糧に、彼は2度目の海外挑戦に踏み切り、ポルトガルへ渡った。そこで確実に出場機会を得ていれば、森保監督もGKの大黒柱と位置づけ、その後も起用し続ける腹積もりだったのではないか。けれども、権田はポルティモネンセで思うように出番を掴めず、18-19シーズン後半戦はリーグ1試合のみにとどまった。