「大事な時期にプレーできない」26歳の岩波拓也が抱く不安…それでも今できることは

2020年04月27日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

再開後も苛烈な競争は続くだろう

今季は開幕から2試合連続で先発。連勝に貢献した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

「かなりストレスが溜まっていますし、早くサッカーをしたい気持ちでいっぱい。なかなか先が見えない現状ですけど、いち選手として改めてサッカーに生かされているんだなと、それはすごく感じます」

 浦和レッズの岩波拓也は、危機感と不安を抱きながら、早くピッチに戻れることを望んでいる。

 今季の浦和は、昨年まで長らく採用していた3-4-2-1から4-4-2へとシステムを変更。必然的にCBの席は「3」から「2」に減少した。

 このふたつの席を巡る競争は熾烈を極めている。なにせ人材が多士済々なのだ。元日本代表の槙野智章、ブラジル人助っ人のマウリシオ、対人能力と統率力を兼ね備える鈴木大輔、U-23オーストラリア代表の主将を務めるトーマス・デン、そしてクレバーでフィード能力の高い岩波が揃う。
 
 キャンプから激しいアピール合戦が続くなか、ルヴァンカップの仙台戦、リーグ開幕の湘南戦の2試合で岩波はスタメンで出場。鈴木とコンビを組み、連勝に貢献した。昨年アジア年間MVP賞にノミネートされた槙野が先発できなかったことからも、その争いのレベルの高さが分かる。

「もちろんキャンプの時から争いはあると思っていました。ただでさえレッズにはハイレベルな争いがありますし、新しく入ったトミー(トーマス・デン)もすごくいい選手。危機感はあります。でも自信だけは常に持っています」

 しかし、開幕から2試合連続で先発したところで安心はできない。実力者ばかりでいつ取って代わられるか分からない。

「実は湘南戦が終わった後に少し怪我をしてしまって、次のリーグ戦にはおそらく間に合っていなかったもしれない。それがあったので、焦りは感じていた。簡単に戻れるポジションではないし、簡単に戻してくれるメンバーではない。そのへんは危機感を常に持ってやっています」

 中断したことで右太ももの治療に充てられたのは幸運だったが、それでも再開後も苛烈な競争は続くだろう。ポジションが確約されている保証はない。

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