悠長なプーチンにフランスのW杯戴冠シーンを妨害され…。そこに突然、滑り込んできた選手が!【秘蔵写真コラム】

2020年04月20日 ハビエル・ガルシア・マルティーノ

土砂降りのなかで悠々とプーチンが…

フランスの選手たちが世界一の歓喜に酔いしれる目の前を悠々と眺めようとするプーチン大統領。 (C) Javier Garcia MARTINO

 2006年のドイツ・ワールドカップのエピソードを紹介した前回に引き続き、今回もワールドカップで撮影した写真と共にビッグイベントの舞台裏についてお話ししよう。

 今回紹介するのは、一昨年の夏に行なわれたロシア大会決勝戦での一コマ。大雨のなか、快進撃を続けたクロアチアを破り、世界一となったフランスの選手たちが優勝トロフィーを手に歓喜の叫びをあげた時のものだ。

 試合中、スタジアム内でフォトグラファーの撮影ポジションが制限されていることについては、皆さんもすでにご存知のことと思うが、実は試合後も自由に動けるわけではない。ロープで区画を仕切られ、我々は限られたエリアで撮影することが義務付けられている。

 優勝が決まる一戦では表彰台での良い画を収めるため、試合が終わったら迅速に動かなければならない。まずタイムアップのホイッスルが鳴るのを待ち、機材を抱えてコーナー付近で待機。そこから係員の誘導に従って表彰式用の撮影スペースに移動することになっている。
 

 ロシア・ワールドカップの決勝では、幸いにも私は表彰台の真ん前の最前列に陣取ることができた。トロフィーとメダルを受け取った選手たちが集合するステージも、斜めからだがしっかり撮れる位置だ。

 しかし、表彰のセレモニーが始まり、最初に審判団にメダルが授与される頃からポツポツと降り始めた雨は、やがて大粒の雨に変わっていく。そして、フランスの選手たち全員にメダルが渡された時には、前方が見えないほどの豪雨となっていた。

 全身水浸しとなり、カメラのレンズが濡れるだけでも悪態をつきたくなる状況だったのに、フランスのキャプテン、ウーゴ・ロリスがトロフィーを掲げようとした瞬間、私は、とんでもない事態に遭遇するはめとなった。

 なんと大きな傘をさしたガードマンに守られながら表彰台を下りたロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、フォトグラファーの前に立ち止まってフランスの選手たちを悠長に眺め始めたのだ。それも大雨の中で、だ。

次ページ落胆していたところで開いた“扉”

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