「屈辱的だ!」「なぜ突然、全選手が給与カット?」ルーニー、厳しい減給を迫る政府とプレミアリーグに怒り

2020年04月06日 サッカーダイジェストWeb編集部

「選手の面目を潰すかのようだ」

リーグと政府の決定に怒りを露わにしたのがルーニーだ。 (C) Getty Images

 世界で猛威を振るう新型コロナウイルスは、サッカー界にも大きなダメージを及ぼしている。各国リーグが再開の見通しが立たないなかで活動停止に追い込まれ、収入源を断ち切られ、財政面で苦境に立たされているクラブも少なくない。

 そうした窮状のなかでプレミアリーグは現地時間4月3日、各クラブに対して選手に30パーセントの減給を求めるよう提案。さらに英保健相のマット・ハンコック氏は、「選手たちは給与削減することで貢献すべきだ」と賃金の引き下げを主張した。

 こうした意見に対してプロサッカー選手協会(PFA)は、5億ポンド(約700億円)のサラリーカットが2億ポンド(約280億円)以上の税収減につながると指摘。さらに選手たちが「経済的に大きな貢献をする上で各々の役割を果たす」としたうえで、声明で「この政府の収入損失は、NHS(国民保健サービス)にどんな影響を及ぼすだろうか?」と疑問を呈した。

 対立構造もできつつあるなかで、イングランド屈指のスターが声を上げた。現在英2部のダービー・カウンティに所属するウェイン・ルーニーだ。

 かつてイングランド代表で華々しい戦績を残したレジェンドは、英紙『Sunday Times』のコラムで、「ここ数日間の展開は屈辱的だった」と怒りを滲ませた。
 

「仮に政府が僕に医療従事者への経済的なサポートや人工呼吸器の購入を助けるよう求めてきたら、金がどのように使われるか明白な限り、誇りを持って要請に応じる。それは僕らが何かしらを犠牲にする立場にあるからだ。

 ただ、すべてのフットボール選手が僕と同じ立場ではない。なのに、突然、全選手が30パーセントのサラリーを諦めなければならない状況に立たされた。どうしていきなり僕たちフットボーラーがスケープゴートにされるんだ?」

 ルーニーはプレミアリーグへ意見したハンコック氏にも痛烈な批判を展開した。

「彼は現在直面する問題についての最新情報を国民に与えるべきだったのに、なぜフットボーラーのサラリーが頭の中にあったんだ? 彼はこのパンデミックに対しての政府の対応への注意を逸らそうと必死だったんじゃないのか? 急にこの問題ばかり公表されたから、僕にとっては奇妙だ。なぜこんなことになった? 選手たちの面目を潰すかのように感じる」

 さらに「選手たちにとって勝ち目のない状況だ。僕たち選手は狙いやすいターゲットになっている」とも綴ったルーニー。果たして、スターの怒りの声は各クラブの上層部に届くのだろうか。デリケートな問題だけに、その議論の行方が気になるところだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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