バルサに食い込み同業者から「嫉妬」も…30歳の新進気鋭エージェントはキャリアも異色

2020年04月03日 片野道郎

今やバルサ絡みのほとんどのディールに何らかの形で噛む

チルニアル(左)はボアテング(中央)をバルサに送り込んだ代理人だ。写真:Instagram

 エドアルド・チルニアルはイタリアとスペインで急速にその存在感を高め、代理人業界で大きな注目を集めている新進気鋭の30歳だ。
 
 通常は特定のエージェントと深い関係を持たないと言われるバルセロナに食い込み、エリック・アビダルSDとその補佐ラモン・プラネスの信頼を得て、今やバルサ絡みのほとんどのディールに何らかの形で噛むようになっている。
 
 今冬も顧客であるキケ・セティエンを監督として送り込んだだけでなく、カルレス・ペレスのローマ移籍を取り仕切り、インテル育ちのレイ・マナイ(アルバニア代表FW)をバルサBに移籍させた。そのためスペインでは多くのエージェントの嫉妬を買っており、彼らと繋がりのあるWEBメディアはチルニアルのスキャンダル探しに躍起になっているという話があるほど。
 
 元々は自動車ディーラーで、車販売の顧客だったスレイ・ムンタリ(元ガーナ代表MF)の代理人としてサッカー・エージェント業をスタートさせたという異色の経歴を持つチルニアルは、そのムンタリ、ケビン=プリンス・ボアテングという初期の顧客に絡んでミランと関係を築き、大物代理人フェデリコ・パストレッロに師事してエージェントとしての経験を積んだ。
 
 スペインで勢力を広げたキッカケは、16年のボアテングのラス・パルマス移籍。そのボアテングが19年1月にサッスオーロからバルサに意外な移籍を果たしたのも、もちろん彼の功績だ。
 
 サッスオーロでは監督のロベルト・デ・ゼルビが顧客で、18年夏のその就任に合わせてCBマルロンをバルサから引き入れるなど影響力を強めている。
 
 今夏もとりわけバルサ絡みのディールでキーマンになるだろう。
 
●主な顧客(仲介を含む)
ケビン=プリンス・ボアテング(ベジクタシュ)
カルレス・ペレス(ローマ)
レイ・マナイ(バルセロナB)
キケ・セティエン(バルセロナ監督)
ロベルト・デ・ゼルビ(サッスオーロ監督)
アルベルト・アクイラーニ(フィオレンティーナ・コーチ)
 
文:片野道郎
※『ワールドサッカーダイジェスト』2020年3月19日号より転載
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