【千葉】「サッカーを辞めようと…」負傷、契約満了を乗り越えて川又堅碁が示す復活への道

2020年03月13日 加茂郁実

磐田での苦しい日々を経て――

琉球との開幕戦ではゴールに絡んだ川又(写真右)。喜びを噛みしめながらプレーする。(C)SOCCER DIGEST

 今年1月。千葉の沖縄・南城キャンプには、練習生として参加するFW川又堅碁の姿があった。川又といえば、日本代表歴もあり、Jリーグでは通算88ゴールを奪ってきたストライカーである。2017、2018年には磐田(当時J1)で2年連続二桁得点を記録する活躍を見せたが、昨年は怪我に泣いた。特に大きかったのが4月に負った右肩関節脱臼だった。 

「思うようにプレーができず、サッカーを辞めようと、いや、辞めようじゃなくて、辞めざるを得ないのではないかと思うほど、手が動かなかった」

 神経麻痺、腱板の損傷、断裂など脱臼以外にも負傷は及んでいた。なかなか完治せず、不安な日々。さらにチームは残留争いに巻き込まれて苦しんでいる。「こんな時に力になれずに、何がエースだ――」。そんな想いで無理に復帰したものの、「正直、サッカーができるような状況ではなかった」。当然、結果を出せるわけもなく再び戦線離脱。そしてチームはJ2に降格し、自身には契約満了の通知。青天の霹靂だった。
 それでも、J1チームからオファーをもらえるのではないかと思っていた。完治さえすれば輝きを取り戻す自信もあった。しかし、J1クラブはおろか、J2のチームからさえオファーが届かない。厳しい現実を突き付けられたが、前述したようにJ2を戦う千葉のキャンプに練習参加し、正式契約を勝ち取った。

 キャンプでは途中、別メニューだったこともあり、リーグ開幕前の2月9日に行なわれた柏とのちばぎんカップはベンチスタート。ただ61分に登場して存在感を示すと、翌日に行なわれた柏との練習試合ではクロスからゴールを決め、しっかりリーグ開幕戦に照準を合わせた。

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