新型コロナで急転のフランス。CLのパリSG対ドルトムント、4月15日までのリーグ・アン全試合を無観客開催に【現地発】

2020年03月10日 結城麻里

CLの大一番も無観客試合に

バルク・デ・プランスは無人のまま、ドルトムント戦が行なわれることになる。 (C) Getty Images

 フランス1部のリーグ・アンでは、現地時間3月8日、ストラスブール対パリ・サンジェルマン(パリSG)戦が、パリ県庁の決定により延期になった。パリSGのチームとスタッフは、この決定が出た時間にはすでに飛行機でストラスブールに向かっていたため、到着地で食事だけをとり、そのままパリにとんぼ返りする羽目に。新型コロナウィルスによるリーグ・アンの試合延期は、これが初めての例となった。

 そして、チャンピオンズ・リーグ(CL)も新型コロナウィルス拡大の影響は免れない。フランス当局は9日、11日13時30分にキックオフ予定の、パリSG対ドルトムントのCLラウンド・オブ16セカンドレグを、「無観客試合で開催する」と正式発表した。

 フランスでは8日夜の時点で感染者は1126人、死者19人にのぼった。このため、同夜の記者会見でフランスの新保健相は、新型コロナウィルスの感染拡大を阻止するため、「国家的利益がかかっていない限り、1000人を超す人々が集合する集会やイベントを禁止する」という方針を明らかにした。

 その時点で、パリSG対ドルトムント戦を無観客試合にして予定の日程で開催するのか、または日程そのものを延期するのか、で意見が割れていた。しかもパリSGが深夜に「予定通り開催される」と声明を発表し、混乱を極めていた。
 

 翌9日昼ごろには、治安や保健行政の責任を司るパリ県庁が「この試合を無観客にする」と決定。併せてパリSGも「従う」と発表した。

 これを受け、ロクサナ・マラシネアヌ・スポーツ相(女性)は直ちに記者会見を開いた。「無観客試合か、延期しかなかったが、延期はスケジュール上不可能だと判明した。したがって県庁決定により、パリSG・ドルトムント戦は無観客試合にする。私も観戦する予定だったけど……」と苦笑した。

 スポーツ相はこれから予定されているスポーツイベントについて、「ケースバイケースで対応することになる。ただ、今後は無観客試合がドクトリン(教義)になるかもしれない」と説明。リーグ・アンに関しては、4月15日までの試合が全て無観客で開催される。

 ただ、「スポーツ競技が続けられるよう」(同相)に一律中止はせず、コンペティションや試合の重要性、スケジュールの可変性、開催地域の感染度などに応じてひとつずつ決定し、対策を講じながら続行するという。また、繰り返し「東京オリンピックが予定どおり開催されるように」と、期待も表明している。

次ページ数日前までは中止されていなかったが…

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