タイ代表のJリーガー招集やベトナム代表・韓国人監督への入国対応が問題に…新型コロナの影響は東南アジアサッカー界にも

2020年03月08日 佐々木裕介

リーグ戦の対応は各国さまざま。タイでは4月17日まで中断

W杯アジア2次予選で争うタイ代表とベトナム代表。タイはチャナティップらJリーガーの招集に暗雲が漂う。一方のベトナムも韓国人のパク・ハンソ監督の入国時の対応が物議を醸した。(C) Getty Images

 新型コロナウイルスの影響で娯楽や行動を制限される毎日。皆で乗り越えなければならない、我慢の時期であることは重々分かっているのだが、なんとも気が晴れない悶々とした時間を過ごしているのは、皆同じではないだろうか。

 サッカー界もご多聞に漏れず、各組織団体は日々動向を注視しながら対応に追われている。しかしそれは日本に限ったことではない、東南アジア諸国も同じで、今日現在、主要トップリーグの運営状況は下記の通りとなっている。

【タイ】2月14日に開幕。第5節から無観客試合とする発表後、4月17日まで中断すると変更。
【インドネシア】2月29日に開幕、観客も入れた平常開催。
【シンガポール】2月29日に開幕、観客も入れた平常開催。
【マレーシア】2月29日に開幕、観客も入れた平常開催。
【ベトナム】3月6日に開幕、無観客試合にて開催。
【フィリピン】3月21日に開幕予定。

 どこも自国政府が発表したガイドラインをもとに対応策を練っているが、運営方法は様々だ。ただ一様に言えることは、どこでも新型コロナウイルスに敏感になっていることは間違いない。

 WHO(世界保健機関)から感染拡大の予防対策を迅速且つ効果的に講じていると評価されているベトナム。感染患者の多い韓国からの入国者に対して、特定施設等での"14日間"医療隔離を実施すると発表したのだが、 韓国人であるパク・ハンソ代表監督が隔離措置を免れたことで物議を醸した。

 パク監督は、越暦旧正月"テト"休暇で母国へ帰国。その間には日本にも滞在していたというのだが、ベトナムへ戻って受けたのは指定医療施設での診断検査のみで隔離はなし。"ベトナムサッカーの父"ゆえの特権ともとられかねない対応に、賛否両論あったことは想像に容易いだろう。

 無観客試合での開催発表から一転、1か月間のリーグ中断を決めたタイリーグ。その裏で代表チームにも大きな問題が勃発していた。4か月のブランクを経て、今月末に再開されるワールドカップ・アジア2次予選への海外組招集問題がそれである。

 西野代表監督が今予選で招集した海外組は4人。その全員が今季日本でプレーしているのだが、タイ政府が発表している行動制限(日本からの入国者には14日間の自宅等での自己観察を要請)に準ずるとなれば、招集は現実的ではなくなってしまうのだ。残り3試合、ひとつも落とせない状況にあるタイ代表にとって彼らの招集は不可欠。非公式ながらタイサッカー協会がリーグ中断中の所属Jクラブとの間で、水面下での交渉を行なったとも噂されている。

 一方でAFC(アジアサッカー連盟)とFIFA(国際サッカー連盟)が日程調整に合意、延期となれば、ひとまず落ち着く問題なのだが果たして。

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。感染患者が増加傾向にある欧州でも、イタリアやフランスといった国内リーグでも試合延期が出始めている。

 Jリーグは中断期間を3月いっぱいまで再延長し、4月に再開する案を検討しているとも聞く。

 ウイルスが嫌う、アジア特有の暑さと湿気を待つには、まだ少し先の話になる。眼には見えない敵に振り回されているのは何処も同じだ。

取材・文●佐々木裕介
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事