昨季は横浜でリーグ制覇に貢献――清水、新指揮官の攻撃的スタイルはどこまで浸透したのか?

2020年03月07日 サッカーダイジェストWeb編集部

自分たちが保持し続ければ失点しない。理想は90分間ずっと相手側のハーフコートで試合をすること

今季クラモフスキー監督の下で新たな戦術にトライする清水。開幕戦は敗れたが、FC東京を相手に後半途中まで試合を支配した。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 中断期間の清水のテーマは、言葉にすると非常にシンプルだ。

「自分たちのサッカーの完成度を上げる」。これに尽きる。

 昨年までの清水はリアクションサッカーの傾向が強かったが、今季はピーター・クラモフスキー監督を迎え、昨季の王者・横浜と同様の攻撃的サッカーに大きく舵を切っている。そのため新しいサッカーを浸透・成熟させるには、やはり時間がかかる。ルヴァンカップの川崎戦やFC東京とのリーグ開幕戦を見ても、完成度はまだまだという印象だった。

 その意味では、この中断期間はプラスに作用する可能性も大いにある。クラモフスキー監督も中断期間の練習テーマについて次のように語る。

「あらゆる面で自分たちのサッカーをより良くしていくことです。攻撃でもっと脅威になれるように、守備をもっと強くできるように。ボールを持っている時も持たない時も、もっと自分たちのゲームができるようにしていきたいです」(クラモフスキー監督)

 その中でもより重点的な課題についてチェックしていこう。まず失点を減らすためのポイントについては、センターバックの立田悠悟に話を聞いた。

「公式戦でも練習試合でも、ボールの失い方が悪くて失点した形がここまで多かったので、まずはそこですね。僕ら守備陣も含めてボールの保持の仕方をレベルアップして、変な失い方をしないことが、失点を減らす意味でも重要なカギになると思います」(立田)

 自分たちがボールを持ち続けていれば失点もしない。それがクラモフスキー監督の基本的な考え方であり、横浜でも同様のチーム作りで結果を出してきた。ボールを保持しながら敵陣に押し込み、その中でボールを奪われても、即座にプレスをかけて奪い返す。選手同士の距離を近くしてショートパスをつないでいくからこそ、ボールを失った際にも相手との距離が近く、守備への切り替えも速くすることができる。理想は、90分間ずっと相手側のハーフコートで試合をすることだ。

 ただ、ディフェンスラインを非常に高く設定する分、ビルドアップにも積極的に参加するGKや、センターバック、ボランチのあたりでボールを奪われてしまうと、カウンターで一気に大ピンチに陥るリスクも大きい。個人的なひとつのミスが即失点につながるという危うさを持っているのも、このサッカーの特徴だ。横浜でも、そうした失点が今も目立っている。
 

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