【FC東京】リーグ延期、コロナウイルス、中断期間の過ごし方について監督、選手の反応は?

2020年03月03日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「駆け足でここまで来たので…」(森重)

今季は公式戦4試合を戦って無敗。良い流れに乗っての中断だったが、監督、選手は現実をしっかりと受け止めていた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 Jリーグ延期が発表されるまで、FC東京は公式戦4試合を戦って無敗。ACLはプレーオフでセレス・ネグロス(フィリピン)を2-0と下し、グループステージで蔚山現代(韓国)と1-1で引き分け、パース・グローリー(オーストラリア)に1-0と競り勝った。そしてJリーグ開幕戦は清水に3-1の逆転勝利と良い流れで来ていたが、中断期間を挟むことになってしまった。

 しかし、長谷川監督は「こういう状況なので仕方ない」とコメント。さらに「皆さんの健康があってのスポーツ、Jリーグだと思いますので、再開した時にファン・サポーターにしっかりとしたパフォーマンスを見せられるよう、準備をしたい」とも話していた。

 再開するまで大事なのはなにより「維持」。長谷川監督はそんなニュアンスのことも言っていた。

「連係を高められるところはやっていきたいし、一方で怪我人は(中断期間を)回復にあてられる。コンディションが良い選手は当然(試合を)やりたかったと思いますが、引きずらずにしっかりと維持してもらいたい。モチベーションを落とさない、フィジカルをキープする、そういう意識を持ってもらいたいです」

 清水戦でプロデビュー(左サイドバックとして先発出場)を飾った中村帆高は、その試合で「課題が明確になった」と語る。体力的な問題はまるでなかったが、「できないことが多すぎる、現状では」と反省の弁を述べていた。そして、この中断期間を利用して課題克服に努めようとしている。

「この時期に課題を知れたのは良かったです。プロデビューしただけで、本当の勝負はここからだなと。自分の強み、いわゆる身体的な部分は通用するということが分かったので、あとは頭の整理、技術やスピードに慣れるというところです。公式戦再開までの3週間でどれだけ成長できるか。重要な期間だと捉えています」
 
 中村に限らず、清水戦では室屋ももどかしさを感じていた。

「清水戦は(後半途中まで)上手くハマらなかったですね。ACLとかも戦っていたから多少の疲れがあったのは事実です」

 ただ、中村と同じく室屋もこの中断期間は"見つめ直す"ための良い時間になるという。

「開幕戦で出た課題を見つめ直す良い機会だと思います。新しいフォーメーション(4-3-3)を練習し、その理解度を深める意味でも貴重な時間。再開後はスケジュール的に大変になるかもしれないけど、そこを考えても仕方がない。むしろ、チームとしてさらにまとまる機会にできれば」

 ポジティブに捉えているのは森重も同じだ。

「Jリーグが決定したことなので、それに従うしかない。今回の中断により日程は厳しくなるだろうけど、安全第一。ウイルスについては分からないことも多いので、(中断は)最善の策だと思います。このオフは(ACLのプレーオフを戦う関係で)キャンプがひとつ少なったので、ここでもう一回身体を作りたい。しっかり気持ちを切り替えて、やるべきことをやる。新しいフォーメーションにチャレンジするという状況下で、駆け足でここまで来たので一旦足を止めて落ち着きたい。しっかりと課題に取り組める時間があるということは、それはそれで良かったなと」

 中断期間中は基本的に非公開練習。メディアへの対応も週に1回と限られており、サッカーに打ち込むにはある意味良い機会なのかもしれない。現時点で再開初戦となる広島とのホームゲーム(3月18日)に向け、FC東京はさらなる進化を目指す。

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
 
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