タイ人らしさが消えたチャナティップ。敗戦後の取材エリアで見せた表情に、来日4年目の“変化”

2020年02月24日 佐々木裕介

「チャンスは多かったが、決め切る精度が低いと勝てない」

持ち前のドリブル突破とキープ力で札幌の攻撃を牽引したチャナティップ。今季はチームを躍進に導けるか。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ1節]柏4-2札幌/2月22日(土)/三協F柏

 年間通して一番寒く雪が降っても可笑しくはない時期だと思うのだが、鼻を擽る匂いは初春そのもの、暖冬なんだなと。そんな週末、今年もJリーグは開幕した。

 今季、J1でプレーするタイ人選手は4名。チャナティップ(札幌)、ティーラトン(横浜)、1年ぶりに舞い戻ったティーラシン(清水)、そしてJ初挑戦となるカウィン(札幌)だ。

 先ずは誰に挨拶へ行こうか悩んだが、やはり先駆者に敬意を払うのが筋だろうと思い、開幕戦は柏(柏レイソル対北海道コンサドーレ札幌戦)へと向かった。

 スコアは4-2。多くのゴールが生まれたスペクタクルな試合、どちらのファンも待ちに待った"開幕"を楽しめたのではなかろうか。とはいえ、中身は対照的なものだった。

 勝敗を分けたのは決定力の差だったことは誰の目にも明白であり、中盤の構成力の差が出たようにも感じた。柏はシンプルに捌き流れを作るが、札幌は連係や球離れが悪く、プレスを掛けられては潰される場面が多かった。

 柏の前線は実にシンプルに、素早く相手ゴールを目指していた。札幌にしてみれば、己がやりたいサッカーを柏にやられてしまった格好だろう。後半になって流れ戻した感はあったが、チーム完成度合いの差が露骨に出た試合だったように思う。

「先ず開幕戦に負けてしまったことをファンにお詫びしたい」
 試合後、気落ちした表情でそう囲み取材に応じたチャナティップ。そそくさと立ち去ろうとしていた彼を呼び止め、話を聞いた。


――負けはしましたが、多くのチャンスを作りシュートも多かった試合でした。

「もちろんチャンスが多いことは良いですが、ゴールを決め切る精度が低いと勝てないです。自分ももっとそこにこだわって練習します」

―――トン(加入が決まっているカウィンの愛称)が明朝(2月23日)に来日しますが、移籍にともなって何かアドバイスはしていたんですか?

「生活面のことだけです。"チンチンサッポロサバイサバイ"ね(タイ語で"すごく札幌は住み易いから")」
 

次ページ試合に負けたから悔しい――。実に当たり前の感情なのだが…

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