「バルサだけが恩恵を」「不公平」「傷を負ったのはウチ」“エース強奪”にレガネスが怒り心頭!

2020年02月21日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

ルール上は違反ではないが…。

レガネスからバルサに引き抜かれたブライトワイト。写真:Rafa HUERTA

 シーズン途中のまさかの"エース強奪"に怒りを露わにしたのが、ラ・リーガのレガネスだ。
 
 現地時間2月20日、バルセロナはレガネスに解約解除金1800万ユーロ(約22億5000万円)を支払い、デンマーク代表FWのマーティン・ブライトワイトを獲得したことを発表した。
 
 ヨーロッパの移籍ウィンドーは、夏(6~8月)と冬(1月)の2回に定められているが、今回の補強はいわば例外的措置。バルサは先日、フランス代表FWのウスマンヌ・デンベレが右大腿二頭筋断裂の手術を受けて全治が6か月に。ラ・リーガには5か月以上離脱する選手が出た場合、移籍市場期間外でも、特例として同じポジションの選手をスペイン国内から獲得できるという規定がある。
 
 またスペインには、全選手に「契約解除金」が設定されなければいけないルールがある(他国にもあるルールだが、義務ではない)。これは選手が移籍に合意し、その定められた金額を満額支払えば(スペイン・サッカー連盟→元所属クラブという流れで支払い)、クラブ間交渉なしに移籍が成立するという規定だ。17年夏のネイマール(バルサ→パリSG)、19年夏のアントワーヌ・グリエーズマン(アトレティコ・マドリー→バルサ)もクラブ間交渉は一切なかった。
 
 つまりバルサは、この2つの規定を使ってブライトワイトを引き抜いた格好。現在のルール的には問題がない。
 
 しかし、レガネス側は納得がいっていない様子だ。降格ゾーンに沈む中でブライトワイトはチーム最多の6ゴールを挙げるなど孤軍奮闘しており、そのエースが移籍期限外にもかかわらず突然引き抜かれてしまったからだ。マルティン・オルテガSDは20日の会見で、「回復不可能な損害」と落胆して、現在のルールに苦言を呈した。
 
「現在のルールは、競争原理に反している。全クラブが平等な条件下で競争すべきだろう。長期の負傷者が出たクラブが一歩的にルールを行使し、その問題を他のクラブに押し付けるなんて規定は理解できない。こうしたケースでは、クラブ間交渉で合意した時にだけ移籍を認めるべきだ。ウチは彼を売ろうと思っていなかった。でも、バルサは金を払って一方的に選手を連れ去っていった。バルサだけが恩恵を受けたのは、公平ではないと思う。結果的に傷を負ったのはレガネスじゃないか」
 
 オルテガSDは「ブワイトワイトは紳士であり、プロだった。昨日も移籍する可能性があることを知ったうえで、しっかりトレーニングを積んでいた。その後に移籍が決まり、選手やスタッフに挨拶をしていった。彼の幸運を祈っている」と選手側に感謝しつつも、現在の規定には納得がいかない様子だった。
 
 現代のサッカー界はカネにものを言わせたいわば弱肉強食で、バルサに非があるわけではないだろう。ただ、バルサもネイマールをパリSGに強奪された際は、「ルール違反だ」との批判を先方にぶちまけ、なんとか移籍を阻止しようとした過去があるだけに、レガネス側の心情が分からないわけではないはずだ。
 
 スペイン独自のルールである移籍市場外補強や契約解除金規定は今後、内容の見直しが必要になるのかもしれない。
 
構成:ワールドサッカーダイジェスト編集部
 
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