「クラブは不当に扱っている」パリSGの“アイドル”は、なぜ移籍を決断したのか?【現地発】

2020年01月28日 結城麻里

レオナルドSDに父親が苦言

アトレティコ行きが有力視されているカバーニ。1月末までに移籍が成立するのか。 (C) Getty Images

 クラブ史上最多の198ゴールを叩き込んできたパリ・サンジェルマン(パリSG)のアイドル、エディンソン・カバーニが26日、リーグ・アン第21節のリール遠征不参加を志願。いよいよ移籍の可能性が高まってきた。

「マタドール」ことカバーニの契約は、2020年6月まで。本人は当初、契約を更新してパリに残りたいと思っていた。ところが新スポーツディレクターのレオナルドから一向に更新交渉の提案が来ず、本人も故障で戦線を離脱。その間に新加入のマウロ・イカルディに定位置を奪われてしまった。

 この結果、メディアは「カトル・ファンタスティック」(4人のファンタスティック)と命名されたネイマール、キリアン・エムバペ、イカルディ、アンヘル・ディ・マリアの話題で盛り上がるようになり、トーマス・トゥヘル監督も4人の同時起用を模索。サポーターからの人気は不変だったが、カバーニはいつしかバックアッパーになり下がっていた。

 この状況に屈辱感を募らせたカバーニは、ついに退団を決意し、移籍に向けて動き出した。そして、以前からカバーニを欲しがっていたディエゴ・シメオネ率いるアトレティコ・マドリーが、ジエゴ・コスタの長欠でCF強化の必要に迫られているため、今冬のメルカートでこのウルグアイ代表FWを獲得すべく1000万ユーロ(約12億5000万円)のオファーをパリ側に提示したとされる。

 こうしたなか、レオナルドSDが、フランスカップのロリアン戦後に突如ミックスゾーンに登場。カバーニが退団したがっていること、アトレティコからオファーを受けたことを初めて認めたうえで、「だがオファーが選手の価値に見合っていない。耳を傾けているところだ」「クラブとしては手放したくないし、あのレベルのプレーヤーはそう見つからない」とぶちまけた。

 これを受けて、スペインのテレビ番組に出演したカバーニの父親が、「プレーするべき選手なのに、いま息子は1試合4~6分しかプレーできていない。クラブは不当に扱っている」と批判。これで緊張は一気に高まった。

 カバーニの怪我はすでに完治しており、トレーニングも皆と同様にこなしている。普通なら6月を待てばフリーになり、新天地で多額の契約金をもらえるはず。「それなのにどうしても今冬に移籍したいというのは、本人が『何が何でもプレーしたい』と思っている証拠」(フランス紙『L’EQUIPE』のパリSG番ダミアン・ドゥゴール記者)と分析されている。

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