【セルジオ越後】チャレンジする姿勢が足りないU-23日本。観衆を魅了した静岡学園を見習ってほしいよ

2020年01月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

日本は育成年代の選手層も決して厚くはないんだということを自覚すべき

日本は決勝まで勝ち上がったサウジアラビアに1-2で敗北。支配率で上回りながら、効果的な攻めは少なかった。写真:佐藤博之

 日本が早々に敗退したU-23アジア選手権は準決勝が行なわれて、まずはサウジアラビアと韓国が東京五輪への出場権を掴んだね。改めてベスト4の顔ぶれを見ると、前回王者のウズベキスタンに加えて常連の韓国、オーストラリア、サウジアラビアと、いつもの顔ぶれが順当に上位に上がってきた。特に波乱のない大会だったという印象だ。

 そう考えると、タイや中国、カタールなどクラブレベルでも力をつけている国はあるけど、まだまだ今までの常連国が壁となって立ちはだかったと言える。やっぱり上位に進出した国は下の世代からどんどんタレントが出てきているよ。2大会連続で4強入りしたウズベキスタンはGKが18歳だというし、サウジアラビアもA代表で試合に出ている選手が3人もいる。韓国も日本と同じように主軸となる欧州組を招集できなかったけど、グループリーグは3連勝としてきっちり決勝まで勝ち上がった。

 この状況を見れば、日本が今までの実績の上に胡坐をかいている場合じゃないことは明白だ。もちろん、森保監督がA代表と五輪代表の兼務によって負担が大きくなり、まともに五輪の強化に携われていないことも問題だけど、日本は育成年代の選手層も決して厚くはないんだということを自覚しなければいけないね。

 なかでも大会を通じて感じたのは、日本には自ら個で打開しようとしたり、個で打開できる選手を活かしたりする発想が足りないということ。相馬や食野といった勝負できる選手はいるけど、ほとんどが各駅停車のパスばかりで、敵陣でも消極的なパスが目立っていた。日本は、ゴール前でもシュートを打ちに行くより、パスを回すことを優先させる文化だからね。それでは個の技術は活かされないまま。3試合で1点ずつしか取れなかったのも無理はないよ。

 試合の中でチャレンジしていく姿勢を持たせなかったら、日本のサッカーは、パスは回るけど、点が取れない魅力に乏しいものになっていくだけ。選手権で観衆を魅了するプレーで優勝した静岡学園の戦いぶりを見習ってほしいものだよ。
 

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