西野タイランドの快進撃はどこまで続く!?土曜のサウジ戦は2万5000人の観衆で埋め尽くされるはず

2020年01月17日 佐々木裕介

3度目のU-23アジア選手権の出場で初のベスト8を達成

A代表との兼任でU-23タイ代表を率いる西野監督。東京五輪出場まで、あと2勝だ。(C) Getty Images

 優勝候補の一角と目されていた日本代表が、1勝も出来ずに去ったU-23アジア選手権。開催国タイでも驚きをもって報道されたが、それ以上の衝撃となったのがタイ代表の躍進だ。1勝1分け1敗の勝点4、グループAを2位突破し、ベスト8へ勝ち上がって見せたのである。

 初戦(バーレーン戦)は5-0の大勝。"17歳"FWスパナットが2点を奪取しラッキーボーイとなれば、プレーイングタイムが僅か5分のMFジャルンサックも2得点とスーパーサブまで誕生しての快勝。正直、出来過ぎだとは思うが、この試合で得た"勝点3"と"5得点"が以後の戦いを優位に進める材料となったことは明らかだった。

 2戦目(オーストラリア戦)は先制するも、逆転を許して力負け(1-2)。敗戦を引きずりモチベーション低下を不安視していた3戦目(イラク戦)は、その心配とは裏腹に魂の宿った試合を演じてみせた。6分、VAR判定から得たPKを、この日は先発出場となったMFジャルンサックがきっちりと決めて先制しこのまま前半を折り返す。

 しかし後半開始早々の49分に自陣ゴール前での混戦から失点を喫してしまう。イラクへ傾き掛けた流れを食い止めるべく、A代表にも名を連ねるMFスパチョークとFWスパチャイを同時投入し、前線でのキープ力を高め阻止し、勝たなければ先がないイラクの猛攻にも耐えての引き分け。同大会3度目の出場で初となるベスト8進出を決め、東京オリンピック出場への夢を繋いだ。


 ちょうど1年前の同日、アジアカップUAE大会を戦ったA代表がグループステージを突破、実に47年ぶりとなるノックアウトステージ進出を決めた日と重なった。以後、1月14日は、タイサッカー界にとって語り継がれるだろう記念日となったことだろう。

 グループステージを通して、西野の采配は冴えていた。兼務するA代表と同じ"4―2―3―1"をベースに、相手ボールを奪取してから攻撃へ転じ攻めきるスピードセット、西野タイランドの代名詞と言うべきシステムがはまっている。負けが許されないイラク戦、スタメンを7名入れ替えて奇襲を狙ったりと選手起用も光っている。また自国開催という地の利も大きな要素のひとつだろう。そして何よりベンチの一体感を感じてならない。カタールワールドカップ2次予選を戦うA代表よりも良好な空気を感じられることが頼もしいではないか。
 

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