【セルジオ越後】23歳以下なのにベテランチームのようだ。3連敗で予選敗退もあり得るかもね

2020年01月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

何かを懸けて戦うチームとそうでないチームのモチベーションの差がはっきりと現われた

サウジアラビアは初戦から足を攣る選手も出しながら、日本の反撃を断ち切り初戦をモノにした。写真:佐藤博之

 U-23アジア選手権の初戦となったサウジアラビア戦は、先制されていったんは食野のゴールで追いついたものの、終盤にPKを与えて敗れてしまったね。

 内容的にも敗れるべくして敗れたと言ってもいいような出来だった。日本は本当によくボールをつないだけど、その多くは自陣から敵陣半ばまででの横パスやバックパスばかり。敵陣へどんどん切り込んでいくような積極的な前方へのパスはあまり見られなかった印象だ。

 スタッツを見ると、ポゼッション率は日本が65パーセント以上を記録しているんだけど、おそらく相手にはそんなに日本のボール回しは怖くなかったはずだ。日本はたくさんパスをつないでも一定のリズムで足もとにばかりつなごうとする。コンビネーションで崩したり、ワンツーで相手のマークを剥がそうというプレーも前半はほとんどなかった。ドリブルで仕掛けていこうという場面もスタメンでは食野が何度か見せた程度。23歳以下の大会のはずなのに、まるでベテランチームがやっているようなサッカーだった。

 しかも、ボール保持率ではかなり圧倒している割にはシュートの数は日本が11本で、サウジアラビアが8本とそんなに大きく変わらない。枠に飛んだシュートの数でみれば5対5で同じ。よくよく考えれば、日本は大迫がビッグセーブで少なくとも2点は防いでいる。どっちが効率的にゴールに向かうサッカーができていたかは明らかだよ。

 はっきり言って、何かを懸けて戦っているチームとそうでないチームのモチベーションの差が明確に現われていたと思う。すでにホスト国として五輪出場権がある日本に対して、他のチームはこの大会で上位3位以内に入って出場権を掴み取らなければいけない。サウジのプレーを見ても、やっぱり勝負どころでは身体を張ったプレーやアグレッシブに仕掛けるプレーが多かった。それに引き換え、日本で気迫を見せたのはGKの大迫ぐらいだったんじゃないかな? A代表デビュー戦でハットトリックを決めた小川もシュート0だ。

 日本の試合前に行なわれた同じグループのカタール対シリア戦も2対2という結果もさることながら、お互いに最後まで譲らない激闘だった。この敗戦で気持ちを入れ替えなかったら、3連敗で予選敗退もあり得るかもね。
 

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