「黒田先生は日本一の勝負師」昌平指揮官が痛感した“古巣”青森山田の強さ【選手権】

2020年01月06日 松尾祐希

前半で3点をリードされる展開も、後半に怒涛の猛反撃

昌平の藤島監督(左)と青森山田の黒田監督(右)。準々決勝で実現した師弟対決は黒田監督の青森山田に軍配が上がった。写真:サッカーダイジェスト

[高校選手権準々決勝]青森山田3-2昌平/1月5日(日)/等々力

 前半終了時点で0−3。青森山田が王者に相応しい試合運びで、後半もさらなる爆発を予感させた。しかし、ここから昌平が意地を見せる。

「難しいゲーム展開でしたが、自分たちを信じてやろう」。ハーフタイムに藤島崇之監督から檄を飛ばされた選手たちは、本来の良さを出していく。後半9分に小見洋太(2年)が高い位置でボールを奪い、ゴール前にラストパス。相手の背後から飛び出した須藤直輝(2年)がGKとの1対1を制し、反撃の狼煙を上げるゴールを決めた。一気に息を吹き返すと、以降も中盤で細かくパスを繋いで敵陣に侵入。力負けしていた前半とは明らかに違うプレーで、青森山田の守備陣を翻弄していく。後半35分には鎌田大夢の鮮やかなパスから、途中出場の山内太陽(3年)が2点目を奪取。惜しくも同点に追いつけなかったが、最高ゲームを見せた。試合終了後にスタンドから大きな拍手を送られたのが、その証だ。

 試合後、素直に敗戦を認めた藤島監督。「青森山田の力強さや勝負強さは勉強になりました。最初から身体能力の高さやスピードの速さは分かっていたけど、ケアしきれなかったです」と、王者の強さに舌を巻いた。

 指揮官は習志野高時代には玉田圭司(現長崎)らと選手権に出場し、卒業後は順天堂大に進学。プレーヤーとして一線を退くと、青森山田中で指導者の道へ。そこで敵将・黒田監督の凄さは目の当たりにしてきたからこそ、誰よりも相手の強さが分かる。

「黒田先生は勝負強いし、日本一の勝負師だと思っています。そこを学ばせてもらったことが指導する上でベースにある」

 その想いを持ち、昌平へ赴任したのは今から12年前。全くの無名校を一から強化し、ついに選手権の舞台で青森山田と巡り合った。一昨年度のインターハイ・2回戦で対戦した際は0−2から4点を奪って逆転勝ちを収めているが、やはり冬の檜舞台で対峙するのはまた違う。しかも、今年の青森山田はU-18高円宮杯プレミアリーグチャンピオンで、自分たちは県リーグ1部の王者。そうした異なるステージで戦ってきた相手を向こうに回したが、前半は何もさせてもらえなかった。
 

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