南野拓実はリバプールの戦術にフィットできるか? 現役イタリア人監督が診断!「1、2年後には…」

2020年01月04日 ロベルト・ロッシ

フィジカル能力は欧州のトップレベルで十分に通用

年明けから晴れてリバプールの一員となった南野。注目のデビューは? (C)Getty Images

 リバプールに加入した南野拓実は、前線のすべてのポジションに対応できる戦術センスを備えた現代的なアタッカーだ。身長は174cmと小柄だが、両脚に大きなパワーを秘めており、短距離のスピードとクイックネスに優れるなど、フィジカル能力はヨーロッパのトップレベルで十分に通用する水準にある。

 左右両足のテクニックも高く、次のプレーを意識した位置にぴったりボールを置くファーストタッチの質、身体を上手く使ってプレッシャーからボールを守るキープ力、ショート&ミドルのパスの質と精度、運ぶドリブルのスピード、そして1対1の突破力と、アタッカーが直面する様々な状況に高いレベルで対応できるクオリティーを備える。ただしシュート、そしてヘディングに関しては、まだ成長の余地を残している。

 最大の武器は、チームの組織的な文脈の中で効果的に機能できるすぐれた戦術センスにある。アタッカーとしては際立ったダイナミズムを備え、2ライン(DFとMF)間でマークを外してパスを引き出す動きから、マーカーを引き連れてスペースを作り出す動き、さらには裏への飛び出しまで、プレーの展開と状況に応じて的確なタイミングで質の高いオフ・ザ・ボールの動きを見せることで、ゴールにさらに近づくための選択肢をチームに提供する。
 
 もちろん、パスを引き出してボールを持った後のプレーも非常に質が高い。単独プレーに頼ることをせず、周囲を使ってのコンビネーションで局面を打開しようとする傾向が強く、それを可能にするテクニック、そして非常に優れたタイミングの感覚を持っている。単独プレーで局面を打開するタイプと比べると、見た目の印象は薄くなりがちだが、チャンスメーク、そして決定機創出に対する貢献度は非常に高い。

 攻撃の局面はもちろん、トランジションや守備の局面においてもチームに実質的な貢献が果たせる万能性も魅力だ。ただし、傑出したロングスプリント力は持っていないため、敵ゴールから離れた自陣からのポジティブ・トランジション(守→攻の切り替え)は得意ではない。

【動画】南野拓実のリバプール最強戦士たちとの初対面シーンはこちら!

【PHOTO】南野拓実のキャリアを厳選ショットで振り返る!――2009~2019
 

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