【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「W杯後に挙げた3つの課題は、どの程度解決できているのか」

2015年01月06日 マルコ・パソット

ベルルスコーニはただ座して待つことができなかった。

失望に終わったブラジル・ワールドカップから半年、本田はレベルアップを遂げたのか。間近で取材するパソット番記者が検証した。 (C) Getty Images

 本田とミランが別れて過ごす時が、ついにやって来た。再会は2月。その時、本田が、ミランが、どうなっているかは興味深い。ミランとしては、とにかく本田がベストコンディションでチームに戻ってくることを願うばかりだろう。
 
 もっとも、オーナーのベルルスコーニとガッリアーニ副会長は、本田の帰還をただ座して待つことはできなかった。本田の抜けた穴は大きく、なんらかの手段を講じる必要があったのだ。
 
 こうしてミラネッロにアレッシオ・チェルチがやって来た。このイタリア代表のウイングは、不甲斐なかった昨シーズンの本田に取って代わる新戦力として、ミランがずっと欲しがっていた選手だ。
 
 しかし、夏の移籍市場でチェルチはトリノからアトレティコ・マドリーに行き、本田がミランで活躍を見せたわけだ。チェルチが昨年8月にミランに加入していたら、本田の本領発揮もなかったかもしれない。
 
 いずれにしても、チェルチがミランに加わり、本田はアジアカップのためにミランを離れた。チェルチはもちろん、本田が抜けたポジションに入るだろう。本田がオーストラリア(アジアカップ開催地)から戻った時、ポジションが誰のものになるのか気になるところだが、それについてはチェルチの今後のプレーぶりを踏まえながら、改めて検証していきたいと思う。
 
 とにかく本田は日本代表のリーダーであり、シンボルでもあり、大きな責任を担っている。そして彼自身、この責任を強く自覚している。
 
 ブラジル・ワールドカップは、本田にとっても日本にとっても、残念な結果に終わった。大会後、本田は自身のオフィシャル・ウェブサイトで深い反省の気持ちを綴っている。不甲斐ない結果を謝罪し、自身が味わった大きな失望を正直に吐露し、試合の内容を自分なりに分析した。
 
 いったい、日本に何が足りなかったのか。次のワールドカップのために何が必要か――。そして、普通なら親しい人にしか明かさないような厳しい自己分析を公開し、何百万という人たちに向かって問題点の改善を誓った。
 
 自己分析の結果、本田が挙げた今後の課題は3つだった。経験不足、身体能力の向上、強みの最大化だ。この3点を新シーズンの目標にしたいと本田はサイトで宣言した。はたしてその目標は、どこまで達成できているのか? シーズン前半戦を終えたいま、それを検証するいい機会だろう。

次ページ自身の弱点をきちんと把握している。

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