末恐ろしい16歳が躍動! “日藤のデヨング”が超攻撃的な4-3-2-1を支える!【選手権】

2020年01月02日 川原 崇(高校サッカーダイジェスト)

自己採点は厳しい。「今日は50点くらいです」

1年生とは思えない落ち着き払ったプレーが魅力の植木。日藤の攻撃的なスタイルを縁の下で支える。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 ダイナミックな攻撃が真骨頂の4-3-2-1システムにあって、堂々たるパフォーマンスを披露したのが16歳のアンカーだ。

 1月2日、等々力陸上競技場で行なわれた全国高校サッカー選手権2回戦、日大藤沢(神奈川)と広島皆実(広島)の一戦は、前者が3-1でモノにした。

 日大藤沢のスタイルはあらゆる局面で数的優位を保ち、とりわけ攻撃時には「どんどん引き出して剥がす」(佐藤輝勝監督)、なかなか特異なもの。昨年から取り組み始めたこのシステムとスタイルは、今年の夏以降に完成度が高まり、日大藤沢の選手たちの誰もが自信を口にする。そのなかで、重要なアンカーのレギュラーに抜擢されたのが、1年生の植木颯だ。

 広島皆実戦では相手の攻撃の軸であるFW岡本拓海をケアしつつ、敵の縦へのクサビを的確な位置取りから封じ込んだ。そしてマイボールになれば、2CBの間にすっと下りて、自慢の左足でビルドアップの起点となる。横浜F・マリノスジュニアユース追浜仕込みの卓越した戦術眼と技巧を随所で披露した。

 佐藤監督は、「夏以降、フィジカルのコーディネーションでようやく追いついてきた。そこからは一戦一戦自信を付けて、ボールを動かすところも恐れずにやれるようになりました」と評し、「実はチームでいちばん、黒子を徹しながら勇気を持ってやれる選手なんです」と成長に目を細める。

 とはいえ、選手本人の自己評価はかなり厳しい。採点は「50点」だという。

「(PKを与えた)失点のところは自分のミスからですし、大舞台で力を発揮できないのが自分の課題です。責任が足りていないし、突き詰めてやらないと上の舞台では通じない。フィジカルですか? 入学した頃よりは付きましたけど、全国レベルではまだまだだと思います」

 
 春先のインターハイ予選まではスタンド観戦だった。「悔しい思いがあった」と正直な想いを吐露し、準決勝で桐光学園に敗れたチーム(延長戦で0-1)を目の当たりにして、「この負けを忘れちゃいけないと心に誓いました」と振り返る。

 レギュラーに定着したのは、選手権予選直前だ。「(アンカー)けっこう難しい役割ですけど、少しずつ慣れてきました。レギュラーと言っても安泰ではないし、ピッチに立ったら学年なんて関係ない。出れていない3年生やほかの1、2年生の分もプレーで頑張らないといけないと思ってきました」と決意を明かす。

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