挨拶代わりの80m超ロングフィード!Jスカウト必見の愛工大名電2年生GKはマンCエデルソンを目指す!【選手権】

2019年12月31日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

「もっと締まった身体になってくれば、キックもあと5m~7mくらいは飛距離が出る」と指揮官

愛工大名電2年生守護神の安原。随所に質の良いフィードを披露した。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[高校選手権1回戦]愛工大名電0-1筑陽学園/12月31日(火)/NACK5

 最初のどよめきは意外なシーンで起きた。前半立ち上がりの最初のゴールキックだ。

 愛工大名電の2年生GK安原哲平が自陣ゴールエリアから右足を振り抜くと、ボールは大きな放物線を描いて敵陣ペナルティエリアの手前まで到達。追い風に乗ったわけではない。前半はさほど風は強くなかったものの、どちらかと言えば逆風に近い風向き。80mを超そうかという特大のロングフィードに、スタンドの観衆も度肝を抜かれた。

「調子がいい時は、キックはペナの前くらいまで飛びます。今日の1本目のキックは良かったんですけど、続けていければよかった」

 反省の念も込めつつ、2年生守護神はそう自身のパフォーマンスを振り返る。並外れたキック力はどんなトレーニングから生まれたのか尋ねてみると、「そこまで蹴り込むことはないんですが、アップの中では少ない本数で質のいいボールを蹴ることにこだわっていて、その積み上げが今のキックにつながっていると思います」と言う。量よりも質に重きを置いた練習で精度の高いキックを磨いている。

 ただし、この日は「緊張もあって、思ったようにいかないボールもあって、自分としてはあまり満足していません」と言い切る。それでも、前半からピンチを好守で凌ぎつつ、チームが攻撃に転じる場面ではライナー性の地を這うようなフィードを、味方の足もとにピタリとつけるシーンが幾度もあった。

「憧れですか? マンチェスター・シティのエデルソン・モラレスは見ています。キックの質でチャンスをつくり出せるところを参考にしています」という安原は、いまだJクラブのスカウト網にはかからない選手だが、今後Jクラブの練習参加への声が掛かってもおかしくはない選手だろう。宮口典久監督も「まだそういう選択肢はない状況ですが、(練習参加など)いい話があればまた変わってくると思う」と、そのポテンシャルを評価。続けて、「もっと締まった身体になってくれば、キックもあと5m~7mくらいは飛距離が出るだろうし、そこは魅力に思ってもらえる部分だと思う」と、期待を寄せる。

 しかし、まずは「この舞台に帰ってきたい」と言う安原。試合は前半アディショナルのCKの場面で、筑陽学園の藤隆成(3年)が蹴った「質のいいストレートボール」(安原)に対応しきれず、岩﨑巧(3年)にヘディングシュートを叩き込まれた。2年生守護神は、「今回、全国の舞台に出た経験を活かして、1、2年生をまとめていって、またこの舞台に戻って来られるように1年間意識して頑張りたい」と、再び選手権の舞台に立つことを誓ってスタジアムを後にした。

取材・文●長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)


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