<2019ベストヒット!>なぜリバプールは南野拓実の獲得を急ぐのか。背景にある「リアルな評価」と「宿敵との駆け引き」

2019年12月28日 サッカーダイジェストWeb編集部

師走を賑わせた南野のリバプール移籍を振り返る

南野をザルツブルクから引き抜いたリバプール。その狙いとは何だったのか? (C) Getty Images

 2019年の名場面を『サッカーダイジェストWeb』のヒット記事で振り返るこの企画。今回テーマは、師走のサッカー界を賑わせた南野拓実のリバプール移籍だ。なぜ、レッズは、24歳のサムライ戦の獲得に乗り出したのか。正式発表目前の現地メディアの反応とともに振り返る。

記事初掲載:2019年12月13日

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 レッドブル・ザルツブルクの日本代表FW、南野拓実のステップアップ移籍が成立目前だ。

 新天地となるのは、現欧州王者のリバプール。現地水曜日に行なわれたチャンピオンズ・リーグのグループステージ最終節で、南野とザルツブルクが対戦したばかりの相手だ。試合はザルツブルクが0-2で敗れ去り、南野も不発に終わったが、10月2日のアウェーゲームでの活躍が記憶に新しい。アンフィールド(リバプールの本拠地)で1得点・1アシストのハイパフォーマンスを披露し、敵将ユルゲン・クロップを唸らせたあの一戦だ。

 水面下で交渉は進んでいたようで、ザルツブルクのクリストフ・フロイントSDも「リバプールと話し合いをしているのは事実。我々の選手がかのようなクラブの関心を引いているのは光栄だ」と公の場で認めた。この発言を受けて英メディアは一斉に"ミナミノ"を報道。瞬く間に脚光を浴びる存在となったのである。

 リバプールは今冬の獲得を画策し、ザルツブルクが設定する違約金725万ポンド(約10億1500万円)により近い額面での引き抜きを目ざした。ではなぜ夏まで待たず、冬の移籍市場で狙いを定めたのか。そこにはいくつかの理由があると、英紙『Daily Mail』は指摘する。

 同紙がまず強調するのは、マンチェスター・ユナイテッドの存在だ。ACミランやボルシアMGなどとともに南野に熱い視線を送る競合相手で、ザルツブルクの同僚であるアーリング・ハーランドとのダブル獲りに本腰を入れていた。「ミナミノの市場価値は2000万ポンド(約28億円)前後。リバプールはマンUに先んじて交渉を進展させ、これ以上値が上がる前に、少しでも安く獲得しようと考えていた」のだ。

 ザルツブルクとリバプールの間には、ここ数年で築き上げた太いパイプと厚い信頼関係がある。2016年夏にサディオ・マネを、18年夏(契約発表は17年夏)にはナビ・ケイタが移籍しており、その後ともに代えの利かない主軸に台頭。この実績がリバプールにとって「特大のアドバンテージになった」と説く。

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