【高校選手権】星稜 0(5PK3)0 鹿児島城西|辛勝ながらもつかんだ大きな収穫

2015年01月02日 森田将義

力を発揮できずにいた滑り込みのメンバーが大仕事を果たした!!

後半立ち上がりに森山(11)が2度目の警告を受けて退場。星稜は窮地に追い込まれた。 (C) SOCCER DIGEST

 大会直前に起きた自動車事故の影響で河崎護監督が不在のまま、初戦を迎えた星稜。代わって指揮を執る木原力斗コーチの「鹿児島城西さんはすごく良いチーム。初戦に関しては、思い通りにはいかないと思っていた」との予想通り、立ち上がりから膠着状態が続いた。
 
 星稜は徐々に中盤でのセカンドボールを収め、ゴール前に出る機会は増えたものの、DF上夷克典を中心に冷静な対応を見せた鹿児島城西の守備陣を崩すことができない。
 
 その一方で、FW岩元颯オリビエを起点にDF陣の背後を狙ってくる相手の攻撃に対しては、キャプテンのDF鈴木大誠がきっちり跳ね返して、「0点で抑えたのは良かった」(木原監督代行)という前半を終えた。
 
 迎えた後半も、星稜は立ち上がりから主導権をつかんで得点チャンスを狙う展開となったが、後半6分に状況が一変する。中央でボールを受けたFW森山泰希がドリブルで抜け出しにかかったが、相手と接触して転倒。このプレーがシミュレーションと判断され、枚2目のイエローで退場となったのだ。
 
 攻撃面での貢献はもちろん、前線からの守備で効いていた森山を欠き、苦しい状況となった星稜。しかし、ここでピンチを救ったのが控えのMF加藤諒将だった。
 
 高校に入ってから一度も全国大会での出場機会がなかった加藤は、後半17分に交代出場。「森山に負けないぐらいの守備をしながら、自分のやるべきことをしようと思った」と、前からのプレスで人数不足を感じさせず、スピードを活かしたドリブルでチームを活性した。
 
 得点には至らなかったが、後半終了間際にはMF藤島樹騎也からのクロスから決定的なシュートを2本放つなど、加藤は相手の脅威となった。
 
 木原監督代行によれば、星稜中時代は「スピードもあるし、一生懸命な選手」という持ち味を発揮してチームを全国中学校サッカー大会優勝に導く原動力となったが、高校に入ってからは「メンタルがすごく弱くて、大事な試合で活躍できなかった」と力を発揮できずにいた。
 
 今夏もインターハイのメンバー入りを逃し、一度はサッカーを諦めかけたが、家族や仲間の支えもあって奮起。選手権直前の御殿場合宿でアピールに成功し、この日の出番につながった。
 
「勇気を持って、点を獲りにいこうという姿勢が見えた。それは次の試合にもつながるのかなと思う」
 
 辛勝で終わったものの、木原監督代行は確かな収穫を掴んだ様子だった。そのなかでも最も大きかったのは、ここまで真価を見せられずにいた加藤の覚醒だったに違いない。
 
文:森田将義(サッカーライター)
 
星稜(石川) 0(5PK3)0 鹿児島城西(鹿児島)
得点者/なし
 
【高校選手権Photo】1月2日|2回戦
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