計117名が参加。トライアウトの舞台に立った2人のベテランCBは“契約満了”という現実に何を思ったのか?

2019年12月18日 原山裕平

長崎の主軸を担ってきた髙杉亮太は「ある程度覚悟していた部分はありました。だから、契約満了はそんなに驚きではなかったです」

JPFAトライアウトに参加した髙杉(23番)と飯田(57番)。来季の新天地は果たして。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 12月16、17日にフクダ電子アリーナで、日本プロサッカー選手会(JPFA)が主催する「JPFAトライアウト」が開催された。

 契約満了となった選手たちが、新天地を手にするためのアピールの場となるこのトライアウト。最年長の我那覇和樹(讃岐/38歳)から最年少の井口綾人(琉球/18歳)まで。香港とベトナムから参加した選手も含めた計117名(1日目=59名、2日目=58名)が、これからの人生をかけてピッチに立った。

 1日目には、髙杉亮太の姿があった。2013年から長崎の主軸を担ってきた35歳のベテランセンターバックは、今季のJ2にも16試合に出場。怪我もあり常時稼働とはならなかったが、貢献度は決して低くなかった。

「怪我が多くて試合にはなかなか絡めなかったですけど、自分がやって来たことはどの試合でも出せたし、自信を持ってしっかりやったと言えると思います」

 髙杉は自身の今季のパフォーマンスをそう振り返る。しかし、一方で契約満了の予感はあったという。

「うちのチームは年齢が高い選手が多い。僕を含めて同級生が4人いたなかで、ある程度覚悟していた部分はありました。だから、契約満了はそんなに驚きではなかったですし、次にどうするかというのは、ちょっと前から考えていました」

 35歳という年齢を考えれば引退の二文字が頭をよぎってもおかしくはない。しかし、髙杉はあくまで現役にこだわる覚悟を示す。

 大学卒業後、当時、関東2部リーグに所属していたFC町田ゼルビアでシニアのキャリアをスタートさせた髙杉は、昨季、長崎でついにJ1の舞台に立った。下積みを経験し、トップリーグまで這い上がってきた苦労人にあるのは、尽きることのないサッカーへの情熱である。
「僕はずっと下のカテゴリーでサッカーにしがみついてやってきた。ここでスパッと辞めるよりも、もう少し頑張れればと考えています」

 トライアウトに参加したのは、決してアピールのためだけではない。

「できるだけ多くの人の目に留まればというのもあるんですけど、参加して損はないというか、こういう空気感を味わうことはなかなかできないし、サッカーを辞めた後にも生かされると思って参加しました」

 長年在籍した長崎を離れることに寂寥感も当然あるが、それ以上に気がかりなのはこれからの長崎のことだった。
「もっと若い選手にやってもらいたいと思っていたので、物足りなさを感じていました。彼らのことが心配というか、大丈夫かなとは思いますね」

 ただし、髙杉の長崎での戦いはまだ終わりを告げていない。12月21日に天皇杯準決勝があるからだ。対戦相手は鹿島である。

「そこに出ることができれば、一番のアピールになりますからね。しっかりと(出場を)狙っていきたいです」
 

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