J3最終戦…思い出の2得点を後押しした長谷川監督の“お墨付き”。Jに足跡を残した若きタイ人を東京五輪で見る日は?

2019年12月17日 佐々木裕介

タイ人Jリーガーとして初のリーグ優勝を掴んだティーラトンが脚光を浴びた翌日に…

J3最終戦で2ゴールを決めたナッタウット(左)。タイで開催されるU-23アジア選手権での活躍も期待される選手だ。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 盛り上がりを見せたJ1最終節。ティーラトンがタイ人Jリーガーとして初めてJリーグ制覇を成し遂げたことにも注目が集まった横浜F・マリノス優勝の翌日、もうひとりのタイ人Jリーガーも足跡を残すべく"最後の試合"に挑んだ。場所は駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場、J3最終節での話だ。


 名前はナッタウット・スクム、愛称はビャオ。今季、バンコク・ユナイテッドFCからFC東京へローン移籍でやってきた22歳だ。しかしJ1出場はゼロで、J3を戦うU-23の試合ですら使ってもらえない日が続いていたのだが、腐らず練習に勤しんでいた彼に突如転機が訪れることになる。

 U-23監督・長澤徹の言葉はこうだ。
「加入当初は日本のコンパクトさに慣れず、インテンシティに全くついていけずで、サブに回した時期が長かったのですが、10月下旬頃、セカンドチームの選手の見極めにも気を払ってくれている健さん(長谷川健太/トップチーム監督)が"いけんじゃねぇの"という言葉をくれまして。私は正直、その意味が分からなかったんですが、スタメンで使ってみたらドンピシャで点を取ってきたんです。健さんの目利きって凄いなと(笑)」

 トップチーム監督から"お墨付き"をもらったタイ人を、長澤はリーグも佳境に入った11月からスタメンで起用し始めた。

 12月8日に行なわれたガンバ大阪U-23とのリーグ最終戦にもスタメン出場し、勝利(5対1)に貢献。ナッタウットは2ゴールを挙げる活躍を見せた。どちらもチームメイトがお膳立てした"帰国土産"ではない、自らの技量でもぎ取ったもの。とりわけ2点目は、ムエタイキックさながらに右足を高く振りかぶってのゴールに"タイ"を強く感じた。

「タイとは全く異なった文化の中で、困ったり悩んだりが多かったですが、チームメイトやスタッフが皆で助けてくれたお陰で、なんとかやってこられた1年だったように思います。そして最後の試合で2点獲れた。自信になったし、良い思い出にもなりました」
 

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